海外ビジネスに関連するコラム

ハラールを合言葉にイスラム圏と日本の架け橋に 第2回

イオンにもイスラム教徒向けの礼拝所が設置

一般社団法人ハラル・ジャパン協会 代表理事 佐久間朋宏

 


2013年9月7日、東京オリンピックの開催地決定に日本中が沸きました。

今回のオリンピック候補地選びでは初のイスラム圏開催としてトルコが話題になっていましたが、世界人口の25%を占めるイスラム教徒の存在感はますます増してきています。

日本は石油や石炭などのエネルギー輸入を通してイスラム諸国とは良好な関係にありますが、日本からの食品輸出やサービス産業の市場としてはほとんど存在していませんでした。実は今回のこの開催地発表の前後に日本でイスラム教徒の方々を迎え入れる新たな動きがあったのです。2013年7月25日関西国際空港がイスラム圏集客のためにハラル※対応を発表。8月16日プレミアム・アウトレット御殿場にイスラム教徒用の礼拝所が設置。12月1日には成田国際空港(成田空港)がイスラム教徒向けの礼拝所を設置という具合に、国内に礼拝の為の施設が続々と設置されています。

 

イスラム教徒観光客の誘致に積極的な千葉県


 


全国の都道府県でもイスラム教徒観光客の誘致の動きは活発で、特に成田空港と東京ディズニーランド、幕張メッセをかかえる千葉県と千葉市は積極的です。この流れは2013年12月20日開業した日本最大級のSCイオンモール幕張新都心でも現れていて、グランドモール4Fグランドテラス(屋上展望台)前に「Prayer Room(祈祷室)を設置しています。同じ幕張新都心には専用施設としては日本初となるハラルの食材を扱う食品加工・調理施設「サラム フーズ プロセッシング」もできました。


イオンモール幕張新都心 Prayer Room(祈祷室)






この動きはますます加速していくものとおもいます。少なくとも2020年までは全国にイスラム教徒を迎え入れるムスリムフレンドリーな環境が整うでしょう。一時的には過剰設備となりますが、世界中でイスラム教徒は増え続け富裕層増加してきますので10年50年100年単位で見ればこれは無駄ではなく活きた投資になると思います。マレーシアも10年前に湾岸諸国などの国外からイスラム教徒の観光客を迎え入れるためにムスリムツールズムを開始して管轄官庁を作り施設を拡充しましたが、その結果10倍の観光客が訪れ、イスラム教徒にフレンドリーな国として世界順位1位を2010年から連続3回受賞しています。







イスラムビジネスが注目される3つの理由


近年、ハラル市場やイスラム金融などのイスラムビジネスの成長性が注目を集めていますが、その主な理由として、次の3点が挙げられます。

①イスラム教徒人口は規模が大きく、人口の増加ペースが速いこと。

国連の試算によりますと、世界のイスラム教徒数は2000 年時点でおよそ13 億人でしたが、2008 年には16 億人、さらに2025 年には約20 億人に達すると推定されています。イスラム教徒数が世界人口に占める割合は現在の4人に1人から、15 年後には3人に1人まで増えることとなります。

②世界の中でも成長著しいアジアにイスラム教徒の半数以上がいること。

インドネシア2 億人、パキスタンの1.7 億人、インドの1.6 億人、バングラデシュの1.4 億人とアジア太平洋地域で9.7億人

③イスラムビジネスはイスラム教徒以外も対象となっていること。

ハラル製品の安全性は、イスラム教徒に限らず非イスラム教徒にも評価があります。事実フランスでは健康に良いという理由もありハラル製品が注目されています。

次回は国内の食の対応をお伝えします。

※ハラルとハラールは発音の違いで同意でありここでは「ハラル」と表現します。


世界のイスラム人口と経済力

(資料提供:一般社団法人ハラル・ジャパン協会)


【一般社団法人ハラル・ジャパン協会の2月の予定】

2月3日 水産経済新聞社65周年記念セミナー

2月4日 堺商工会議所イスラムセミナー

2月5日 沖縄ハラル研究会

2月7日 伊予銀行ハラルセミナー

2月15日 ハラルマルシェ(小山)

2月13日 ハラルビジネス講座 https://halal.or.jp/event/lesson/

2月18日 ハラルビジネス交流会 https://halal.or.jp/event/ex/

2月28日 九州ハラルセミナー(福岡)

 

佐久間朋宏

一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事
佐久間朋宏

略歴
1964年 岐阜県下呂市生まれ
1991年 国立岐阜大学工学部工業化学科卒業
1992年  株式会社中広 入社 
2006年 常務取締役管理本部長でIPO準備  
2007年 名古屋証券取引所(証券コード:2139)に上場
2009年 株式会社東京事務所、日本エリアマーケティング支援機構設立
2012年 一般社団法人ハラル・ジャパン協会設立代表就任