時代を読み、消費者のニーズに応え続ける「チロルチョコ」

森辺一樹とゲストの特別対談シリーズ【グローバルの流儀】
第15弾のゲストはチロルチョコ株式会社 取締役社長 松尾裕二氏をお迎えしての対談です。

誕生から55年にもわたり愛され続けるロングセラー商品

森辺: 「チロルチョコ」といえば、日本人なら知らない人はいないロングセラー商品です。 まずはチロルチョコ様の歩みから教えていただけますか?

対談風景 松尾: チロルチョコ株式会社の前身である松尾製菓は、1903年に、私の曽祖父にあたる松尾喜四郎福岡の伊田村(現・田川市)で創業した会社です。 伊田村は当時、炭鉱で栄えていた街で、肉体労働者の方が大変多く、その方たちの疲れを癒す砂糖菓子を製造する工場としてスタートしました。

2代目の喜宣の代になり、アイスクリームとチョコレートが流行り始めたという時代の流れもあって、当社でもアイスとチョコに商材を転換。 そして1962年に生まれたのが「チロルチョコ」です。 「チロル」というネーミングは、喜宣がチョコレート作りの研究で訪れたオーストリアのチロル地方から採ったもの。 チロル地方の美しく雄大な自然が、疲れを癒しリフレッシュできるというチョコのイメージと合致したのでしょう。 2002年に社員旅行でこの地を訪れた際には、日本へチロルの名を広めた功績として現地の州観光局から感謝状が贈呈されたと聞いています。

3代目が私の父にあたる現会長の利彦で、コンビニエンスストアの台頭をすばやく読み取り、 それまでは駄菓子屋で売られていた「チロルチョコ」をコンビニにも展開。チャネルを広げていきました。 そして2004年に、松尾製菓の企画・販売部門をチロルチョコ株式会社として独立させ、本社を東京都千代田区に設立。 順調に購買層を拡大しながら、現在に至っています。

森辺: そうすると、約115年の歴史があるんですね。駄菓子屋といえば日本の伝統小売りですが、 そこからコンビニの台頭という小売りの近代化に合わせて、時代の流れを読んだ商品に変えて、近代流通に乗せていったというわけですね。

松尾: 最初は駄菓子屋で売るにあたり、当時高級だったチョコを子どもたちが自分のお小遣いでムリなく買えるようにと、売価を10円と決めて開発を始めました。 その中で販売できる商品を開発した結果が「チロルチョコ」だったんです。 コンビニに商品を並べるにあたってはJANコードを印刷するスペースが必要だったので一回り大きくして20円に単価をアップしました。 中身は基本的には変わっていませんが、流通チャネルに合わせた売り方、サイズ展開をしていったという形です。 現在、全国のほとんどのコンビニで「チロルチョコ」を扱っていただいていて、置いていない店舗は5%に満たないのではないかと思います。

定番と新しいフレーバーが混在していることがヒットの一因

対談風景 森辺: 「チロルチョコ」は子どもにとっては低価格で購入できるおやつ、 若い女性にとってはダイエット中でも罪悪感なく食べられる小さな贅沢品(笑)、といった感じでしょうか。 もちろん、大人にも愛されていますよね。 日本の消費財といえば、1,000から10,000種類の商品を開発して、その中でほんの一握りの商品が残り、 ロングセラーになっていくというイメージです。 なかなかこれだけの長い年月、同じ商品が売れ続けるということはないと思いますが、 「チロルチョコ」がここまでのロングセラーになっている理由は、どこにあるとお考えでしょうか?

松尾: いろいろな考え方があると思いますが、やはりブランドを確立できたことが第一の理由でしょう。 ブランド確立の要因の1つは、駄菓子屋時代から、しっかりと「チロルチョコ」をさまざまな世代の方に浸透させることができ、 その上でコンビニに展開したことが功を奏したと考えています。 そして2つめには、あの台形の形だけで「チロルチョコ」だと認識していただけるので、 コーヒーヌガーやミルクなどの定番商品の他に季節のフレーバーや新しいフレーバーを売り出しても、 「チロルチョコ」のブランドはゆるがず、受け入れていただきやすいということ。

2、3カ月に1回は品揃えが変わっていますが、これにより売場に変化がもたらされるので、マンネリにはなりません。 「こんな味が出たんだ!」と、新しい商品を楽しみに購入していただけるお客様がいる反面、 「やっぱり私はミルクが好き」と、決まっていつもの定番商品を購入するお客様もいます。 さらにいえば、定番を買うついでに珍しいフレーバーも買ってみようという方もたくさんいますよね。 常に新しいものと昔からあるものが売場に混在しているということも、もしかしたら長いヒットの要因になっているのかもしれません。

森辺: 御社の商品にはユニークなフレーバーがたくさんあって話題になることも多いですが、 ここまで数多くのフレーバーを取り揃えた商品はなかなかない気がします。 これにはどのような戦略があるのでしょうか?

松尾: 本音を言うと、1つの商品が半年、1年と、売れ続けてくれるのが一番いいんですが(笑)。 これだけたくさんの商品があふれている日本の市場では、常に新しい商品を出していかないと消費者に飽きられてしまいます。 当社が大手メーカーと一番違う点は、軽いフットワークでさまざまなフレーバーにどんどんチャレンジしていけるということ。 私の主観ですが、「チロルチョコ」はフレーバーの再現性に優れていると感じています。 ストロベリーや抹茶などの定番になりつつあるフレーバーは大手メーカーでも手掛けていますが、 桜餅や梅、バナナ、スイカというようなちょっと変わったフレーバーにおける再現性については、当社は自信を持っていいのではないかと。 パッケージデザインとその中身の味に違和感がないんですよね。 「本当にあの味だ!」という驚きや感動を与えることができていると自負しています。

森辺: 確かに桜餅は本当に桜餅の味がするし、ストロベリーは本当にストロベリーの味がするし、スイカは本当にスイカの味がしますね。 数多くのフレーバーを出していくことは日本独特の消費者のニーズに対応するためであり、 メーカーとしてこれだけ多くの種類を高い再現性で作ることは、「チロルチョコ」ならではの強みになっているというわけですね。 製造方法の中に再現性の秘密があるのでしょうか?

対談風景 松尾: 1つの味で構成されているチョコと違って、「チロルチョコ」はおおまかにトップ、センター、ボトムの3層に分けた作り方ができます。 例えば、トップチョコで薄い枠を作って中にソースを入れたり、3層を別々の素材の組み合わせにしたりと、 幅広い味の再現の仕方ができるんです。 最近でいうと、カレーパン味はカレーパン自体の要素を再現するために、 パンをカリカリにしたクルトンのような素材とバターっぽい素材、カレーのピリッとした素材で作り、組み合わせることによって、 噛んだ時に味が混ざって、最終的に再現したい味に近い商品が完成する。 これは当社特有の製法なのではないかと思います。 高い再現性を追求できる作り方になっているんですね。

当社はずっと、他のメーカーとの差別化に取り組んできました。 特に会長は「他人と同じことをやりたくない」というモチベーションがとても高い人です。 「やるからにはうちじゃなければできない商品を」というのは、常に頭の中に置いて商品開発に取り組んできたに違いありません。

森辺: 確かに、3層構造というのは、「チロルチョコ」しか思い浮かびませんね。 御社は商品開発において、あえてマーケティングに依存しない、自由な発想を大切にしているというのを以前、記事で見たんですが、 そのあたりの方針について教えていただけますか?

松尾: 「楽しいお菓子で世の中明るく」というのが当社の社是です。 会長が日頃から開発のメンバーに言っているのは、「自分がワクワクして商品企画をやっているか、に重きを置きなさい」ということ。 自分たちが楽しみながら、「これを世の中の人に見てもらいたい、食べてもらいたい」というワクワク感を持って商品開発をしていなければ、 それはお客様に見抜かれてしまう。 常に自分自身がやっていて楽しいかどうか、こだわりや魂がこもった商品ができているかどうかを意識することが大切だというわけです。

森辺: 今のお話を一聞するとプロダクトアウトを推奨しているようですが、実はそうではなくて、 マーケットインでありながらもプロダクトアウトの要素は絶対に忘れるな、ということを会長はおっしゃっているんでしょうね。

松尾: 菓子に携わること以外のインプットが、優れた商品というアウトプットにつながるという考え方です。 美術館やライブなどに行くことはもちろん、街を歩いていて、「ここにこんなお店ができているな」という変化に気づくだけでもインプットになりますよね。 好奇心を持ち、身の周りにアンテナを張って情報をキャッチできること。 その積み重ねが、いつかアウトプットする時にパッとアイディアになって生まれるのはよくあることです。

森辺: 会長はかなり開発寄りの経営者だったんですね。 そうした考え方が季節のフレーバーや新しいフレーバーをコンスタントに生み出していく動力源になっているのですね。

バラエティパックと、細かなニーズに応えた商品開発に注力

対談風景 森辺: 御社は過去に、駄菓子屋からコンビニへ販路を拡大したことが大きな発展につながりました。 今後、国内ではどのような販売戦略を考えていらっしゃいますか?

松尾: 大きくは2つの柱があると考えています。 定番商品の売上構成比を上げていくために、 ここ3年ほど、バラエティパックという定番の「チロルチョコ」が30個前後袋に入ったファミリー向けの商品に力を入れているんですよ。 これは経営の安定化を目的としていることはもちろん、消費者のニーズにも応える商品なのではないかと考えています。 昔は小さな子どもといえば、駄菓子屋でチョコを1つか2つ買う、というのが一般的でしたが、 今はコンビニやスーパーで、お父さんやお母さんに買ってもらうのが主流です。 共働きが多いご家庭でも、バラエティパックを買って家に置いておけば、小さなお子さんがおなかの空いた時にいつでも食べることができます。

また、お父さんやお母さんにとって「チロルチョコ」は小さい頃に食べた懐かしい味で、大人になっても食べたくなる商品なんですよね。 バラエティパックを買っておけば、たまに食べたくなる大人にとっても便利だというわけです。 今のお子さんたちが大人になった時にも、その連鎖が続いていけばうれしいですね。 そんな理由からも、バラエティパックに力を入れています。

もう1つの柱は、消費者のニーズをもっと細かくくみ取った商品開発です。 これまではコンビニではバラ売り、コンビニ以外ではパック売り、というように、ざっくりと2つに分けて商品開発を行ってきました。 しかし近年、圧倒的にドラッグストアが伸びてきたり、100円均一という「チロルチョコ」と親和性が高いストアが目立ってきたりして、 コンビニとそれ以外という分け方では大雑把過ぎると感じています。 ドラッグストア限定商品や100均限定商品、さらには地域限定商品など、もっと細かな商品開発をしていってもいいのではないかと。 店舗によって来るお客様も異なるので、それぞれのニーズに合った商品開発を目指したいですね。

森辺: エリアによって消費者のニーズは違うし、流通によって消費者の購買目的も違うので、 それに合わせて何を売るか、どういう形態で売るかを調整していく、というのは非常に面白いアプローチです。 それがある程度標準化すれば、「ドラッグストアにはこの商品をこの形態で売るのが一番ROIが高い」などということが読めるので、 最も効率のいいマーケティングができますね。

対談風景 松尾: ドラッグストアで菓子が提供できる価値は2つあると思います。 安いか、健康にいいか。「健康」でいえば、近年、チョコで注目を集めているハイカカオやアーモンドの効果を意識する人をターゲットにして、 安売りではなく、少し高めでも健康にいいことを前面に出すようなアプローチもあります。 ただし、「健康にいい」とうたっている菓子にはたまに、おいしくないものもあるのが事実。 それでは菓子本来の意味がないがしろになっています。 おいしい、楽しい、ということから逸脱せず、だけど実は健康にいい、というのが理想的だと思いますね。

森辺: うちの会社の冷蔵庫にも、女子社員が買うハイカカオの苦いチョコレートが入っていて、たまにこっそりつまみ食いしているんですが(笑)、 よく「どう考えてもこれ、まずいだろう」と思ってしまいます。 あんなに苦いのはチョコの意味がない。 おいしい、楽しい、健康にいい、というのは実にいいコンセプトですね。

社長交代に関する広告や会長の著書に見える「遊び心」が話題に

森辺: 先日、「日経MJ」に掲載された社長交代に関する広告が話題になりましたね。「チロルチョコの社長がかわりました!!」というメッセージに、 ハンドルを持つ松尾新社長と「仮免許練習中」のプレート、 その隣で、前社長で現会長の利彦氏が両目を手で覆っているというユーモアたっぷりのビジュアル。 世間からも「うちの会社にもこれくらいの遊び心が欲しい」などの声が挙がっていましたが、私自身もすごくセンスを感じました。

松尾: ビジュアルも文言も全部、会長が考えたものです。変わったことがやりたいという遊び心に加えて、 社長就任のあいさつといえば手紙で送るのが定番ですが、どうせすぐに捨てられてしまうので資源のムダだ、 という考えから生まれたアイディアなんですね。 日経MJは我々のような菓子の分野をはじめ、流通業界の関係者はみんな読んでいる媒体なので、 そこに「誠に勝手ながら本掲載をもってお取引先各位へのご案内に代えさせていただきます」と書いておけば各位へ伝わるだろうと。 このようにネットで話題になるとは思いもしませんでしたが(笑)。

森辺: あの広告でもう1つ驚いたのが、社長交代記念出版として会長が『チロルチョコはロックだ!』という本を出版されたということです。 私も読ませていただきましたが、その中で明かされていたのが、松尾社長が入社された時に会長が全社員に向けて、 後継者であるということを明言されたという秘話。 世襲制をとる企業は多いものの、入社と同時に後継者だと明言することは珍しいのではないかと思いました。

松尾: 自分にとっては決して特別なことではなかったんですよ。小学校に入った頃から、 「自分はいつかこの会社の社長になるんだ」という漠然とした自覚がありましたから。 その思いは不思議と就活を始める段階まで一切途切れることがなく、他の職業や業種に就きたいという気持ちは出ませんでした。 私はサッカー少年でしたが、「サッカー選手になりたい」とさえ思ったことがなかったんです。 就活では、自分が父の会社に入った時に生かせる業種、業態は何なんだろうというコンセプトで経営財務の力がつく仕事を志望しました。

そのような経緯だったので、会長に「後継者だよ」と言われた時も「そのつもりだよ」と思っていたんです(笑)。 ただ、全社員の前で明言されたからには、周りからもそのような目で見られることになるため、「しっかりしなきゃ」という気持ちはわきましたね。

対談風景 森辺: 会長は、過去にはCDデビューをされたこともありましたね。 今回の広告のアイディアや本も含め、アーティスティックでかっこいいイメージがあります。

松尾: 息子から見ても少し変わった父ですね。青春時代にはビートルズやローリングストーンズに感化され、ロックが大好き。 アートや建築も好きで、美大に行ったわけではないので趣味のレベルですが、絵を描いたり自分でレイアウトしたりもします。 私は学生時代には体を動かすことばかりやってきたので、文化的なものとは一切縁がありません。 本当に正反対な父子だと思いますね。

森辺: アイディアマンの会長と、行動派の社長。そのバランスがとてもいいですね。 普通、チロルチョコほどの企業なら、社長はイスにドンと座っているようなイメージじゃないですか。 それが、松尾社長は営業車に乗って得意先や工場をどんどん回っていくような行動派だと感じています。 それから、商談でも部下に「見積もり出しとけ」と言うような感じではなく、いつも大きな電卓を持っていて、 何かあるとすぐに自ら電卓をたたいてパッと結論を出しますよね。

松尾: 確かに、体を動かす以外にも得意なことがありました(笑)。 昔から英語は苦手でしたが数学は得意で、数字的な感覚は人より秀でているかもしれないと自負していましたね。 営業の部下から「こういう販促費を求められているんですが、どうしたらいいでしょうか」といった相談が来た時には、森辺さんがおっしゃった通り、 電卓を叩いて「利益は減るけど、数量がこれくらい増えるから元は取れる」というようなジャッジをその場で下すことは多いと思います。 会長が感性でイケイケになりそうなところを、私が計算をしてブレーキをかけることもありましたね。

森辺: 決断力がすごいんですよ。 ロジカルに頭が動いているからこそ、その場で判断ができるんだと思います。 正反対の父子で、代が変わったことによる課題はありますか?

松尾: これからは会長のアイディアに頼れなくなる分、メーカーとして一番大切な商品開発の層を厚くしていく工夫が必要になるでしょう。 また、社長が若返った分、社員ともっと仲良くやりたいと思っています。 別に今、仲が悪いわけではないですが(笑)、和気あいあいと、チームとして「チロルチョコ」というものを作っていきたい。 我々がやる仕事がどういうふうに人を幸せにしていけるかを、みんなで同じ方向を向いて追い求めていくことで、 メンタルな部分で会社が成長していけるのではないかと考えています。

「一代一創業の精神」でASEANを中心とする海外展開へ

森辺: 松尾社長は今後、「チロルチョコ」をどのような方向に導いていこうとお考えですか?

対談風景 松尾: 会長がよく言っているのは、「一代一創業の精神」です。 初代が会社を作り、2代目が「チロルチョコ」というブランドを作り、3代目がそのブランドを全国展開へと拡大した。 そのような歴史と伝統の中で、4代目である私がやるべきことは、海外への展開だと考えています。 20年後、30年後に振り返った時に、「自分はこれをやった」と言えるような、 これまでの長い歴史の中にはなかった一代一創業は何かと考えた時に、 「海外で勝負してみたい」という考えは自然と、スッと頭の中に浮かんできました。

ASEANを皮切りに、ゆくゆくは欧米まで展開していけたら理想的ですね。 どれだけ「チロルチョコ」というブランドを世界の人に知ってもらい、食べてもらえるか。 日本人が観光でいろいろな国を訪れた時に、「こんなところにもチロルチョコが置いてある!」と感動していただき、 日本に帰ってきた時に、「○○限定のチロルチョコ見たよ」なんて、お土産話で語ってもらえたら最高ですね。

森辺: 松尾社長は先ほど、英語が苦手だとおっしゃっていましたが、苦手とは思えないほど外国の方と積極的にお話しをされますよね。 日本人は苦手意識があると英語をしゃべらなくなる人が多いものですが、社長の場合はその点、とても前向きでいいと思います。 これは海外に賭けようとされている意志の表れなのでしょうか?

松尾: 海外事業に本腰を入れるにあたって、半年だけですが英会話スクールに通いました。 それまでは本当に英語をしゃべるのが恥ずかしくて嫌いだったんですが、短期間でも英語に接することで苦手意識が薄らいだのが良かったんでしょうね。 もちろん、仕事の商談の時は誤解がないように通訳を介して話しますが、会食の時などにはなるべく自分の言葉で積極的に会話するようにしていますね。

森辺: チロルチョコは、予てからASEAN市場に向いていると感じていました。 既に商品がASEANの中間層向けに適合化されている。 4Pの内のProductとPriceの二つのPが既にクリアされている。 残るは、PlaceとPromotion。 如何に中間層が取りやすい売り場に並べ(Place)、如何に中間層が選びたくなる仕掛けをするか(Promotion)です。

松尾: ここ5年くらいで海外からの引き合いが増えてきてたという流れもありますね。 現在、「輸出ビジネス」としてはいくらか取り引きがありますが、各国における流通までは把握できていません。 日本の消費財メーカーでも、海外で成功している企業なら絶対に、現地の港から先の流通に関して把握しているはずです。 当社もその象徴である「輸出型チャネルビジネス」を目指し、海外事業の割合を増やしていきたいと考えています。

森辺: 実際に日本の大手消費財メーカーであっても、海外には港から港へただ輸出してるだけのビジネスがほとんどです。 そうではなく、輸出ビジネスから、輸出型のチャネルビジネスへ転換することが大事なんですよね。 チャネルビジネスとは、自分たちの商品が、どのような中間流通を通じて、どのような小売りにどう並べられて、どのような消費者がそれを買って、 何を思ってリピートしているのか、それともしていないのかをしっかりと把握して行うものです。 これはまさに松尾社長がおっしゃる通り。 御社は正しい方向性で海外展開を進めていこうとされているのだと感じました。

3年後、5年後に海外で大きな実績が出たタイミングで、もう一度松尾社長と対談してみたいですね。 その時のタイトルは、「海外で躍進するチロルチョコ」なんていう感じでしょうか(笑)。

松尾: 今後10年以内の課題として、ASEANでマーケットシェア10%には持っていきたいですね。 海外売上比率を3割まで伸ばすことも目標に掲げています。

グローバルの流儀 特別対談シリーズ

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森辺一樹

スパイダー・イニシアティブ株式会社 代表取締役社長 ファウンダー
森辺一樹

1974年生まれ。
幼少期をシンガポールで過ごす。アメリカン・スクール卒。
帰国後、法政大学経営学部を卒業し、大手医療機器メーカーに入社。
2002年、中国・香港にて、新興国に特化した市場調査会社を創業し代表取締役社長に就任。
2013年、市場調査会社を売却し、日本企業の海外販路構築を支援するスパイダー・イニシアティブ株式会社を設立。

専門はグローバル・マーケティング。
海外販路構築を強みとし、市場参入戦略やチャネル構築の支援を得意とする。
15年で1,000社以上の新興国展開の支援実績を持つ。
著書に、『「アジアで儲かる会社」に変わる30の方法』(中経出版[KADOKAWA])、『わかりやすい現地に寄り添うアジアビジネスの教科書』(白桃書房)などがある。

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