海外ビジネス談

オフショア開発の要は「コミュニケーター」

株式会社ANGEWORK 代表取締役 桐生 雄洋

オフショア開発の要は「コミュニケーター」

私たちは仕事の関係上、中国、ウクライナ、ベトナムなどを中心に複数の国でオフショア開発をしています。

オフショア開発の課題として、国によっては、
・自尊心が強すぎて共同作業が困難
・予定外の作業を独自の判断で進めてしまう
・日本とスピード感が全く違う
・要件定義の解釈を違えたり、全く違う意味で伝わったりする
・問題が出るとリアルの場に呼び出して説得しようとする
などがありました。
言葉と文化の違いが非常に大きく影響しているのかも知れません。
これらの課題を緩和してくれるのが、優秀なコミュニケーターです。

うまくいくオフショア開発は、優秀なコミュニケーターが介在しています。
3D空間に適用可能なAI開発時、日本では企業や大学の研究室でも協力を断られましたが、ウクライナの企業だけが、弊社の設計思想と作業内容を理解してくれました。開発を依頼し仕事を進めると、会議中にウクライナ側から「ハラショー」と身内の発表を自賛する声が何度も聞こえ、協調性もあるように感じました。
技術力自体も高いものがあり、完成までなんとか漕ぎ着けたという点は高評価です。
※2021年時点で契約完了となったため、現在は交流がありません。

ベトナムでのオフショア開発は、社会主義思想かと思いきや資本主義的な考えもあり、ハイブリッドな文化の印象を受けました。日本との相性は悪くなく、技術力自体も平均以上で仕事はしやすいと思います。

業務や技術に精通し日本と現地の文化や実態に明るいコミュニケーターは、プロジェクト成否に直結します。翻訳・通訳の担当者がいるからと油断し音声会議で事を進めるのは失敗の元です。優秀なコミュニケーターが存在せず開発がうまく進まない時、担当者が何度も入れ替わることもありました。

日本流が全て正しいとは言いませんが、開発担当者が最低限のビジネスマナーを保持していない時や、相手国の距離が遠く時差の関係で会議時間が深夜早朝となり業務時間に変更するような場合は、一緒に仕事をする日本メンバーのモチベーションや予定調整にも気を使います。そのような観点からもコミュニケーターの役割を重要視しています。

海外と仕事をする際は、まずコミュニケーターの確保が最優先であり、選定に時間をかけています。見つからないようであれば、業務遂行のかなりの時間が無駄になるといっても過言ではありません。英語が堪能な日本人が入るという手段はありますが、中間言語が入るという点は誤解を招くリスクもあります。

今では、コミュニケーターを重視しつつ、仕事の進め方も、会議などでの発言や全ての資料に対し、必須事項と二次以降を明確に切り分け、希望の期限を出し返答待ちも全て期限を設け、平易な日本語を心がけるようにしています。

桐生 雄洋

桐生 雄洋

株式会社ANGEWORK 代表取締役

電力会社の情報通信養成機関、及びシステム開発部門出身。
大手ソフト開発会社・家電会社等を経て独立。
メインフレーム、組み込み、デスクトップ、サーバ等々、幅広い実戦経験を持つ。

株式会社ANGEWORK

研究開発をメインとするソフトウェア開発専門会社。
ドローン、点群、AI、矯正、医療用3Dスキャナ等最先端開発が中心。
Unity、WebGLに強く、PC/iPad/スマホ等機種に依存しないソフトウェアを提供。
一部上場企業、医療用製造販売企業との取引実績あり。

Webサイト:https://angework.co.jp/

イノベーションズアイ会員情報:株式会社ANGEWORK

海外ビジネス談は、イノベーションズアイ会員企業を対象に取材しています。