海外ビジネス談

気が利くのはグローバルスタンダードではない

ピーエムグローバル株式会社 代表取締役 木暮 知之

気が利くのはグローバルスタンダードではない

北米・欧州・アジア・インドなど色々な国と関わってきましたが、地域の違いはあれ契約の考え方、仕事の進め方、マインドセットなど、考慮すべき点はたくさんありました。

以前、日本のある大手企業の依頼でフランスの企業と仕事をすることがありました。その日本の企業からの依頼は納期の問題もあり直ぐに仕事に取り掛かるようにということだったので、大した契約もないまま仕事を始めました。結局、細かな取り決めがないことでトラブルになり大変な思いをしました。



日本の場合、契約書に「この契約書に定めのない事項が生じたときは・・・協議のうえ決定する」などの記載があることが一般的ですが、海外の場合はあらゆるケースを想定して細かく契約書に記載します。

仕事の進め方も、日本の場合、段取りや計画をきっちり行いプロセスも重視します。途中経過の状況を確認することで完成品に間違いないかをチェックします。ある意味製造業の影響かもしれません。主に欧米やインドでは、スケジュールを出して欲しいと依頼すると「それを作るのに時間が掛かる。納期が遅れてもいいのか。」と返答されることもあります。確かに完成品を見せた方がスピード感もあっていいこともありますが、反面ダメだった場合の怖さもあります。

まず、前提条件が国や人によって違います。どこが違っているかを探るのに、時間がかかる場合もありました。その地域にあったやり方で、というか、より脱日本的なやり方をしないといけないと思います。それぞれの人たちが、なぜそういう主張をするのか、しっかり理解しなければなりません。



日本人には、阿吽の呼吸があり、感情を表に出さずその場で本音を出し主張することもタブーとすることがあります。気が利くのはグローバルスタンダードではありません。

それぞれの人、会社、国をリスペクトすることと、オープンなコミュニケーションを確立し、信頼関係を構築することが大切です。

木暮 知之

木暮 知之

ピーエムグローバル株式会社 代表取締役

大学卒業後、金融機関に10年間勤務。その後、IT業界に転職し、企業のIT化プロジェクトをサポート。2005年にピーエムグローバル株式会社を設立。現在に至る。

ピーエムグローバル株式会社

海外とのプロジェクトマネジメントを請け負うコンサルティング会社。

Webサイト:https://www.pmglobal.jp/

イノベーションズアイ会員情報:ピーエムグローバル株式会社

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