海外ビジネス談

成果重視の国「アメリカ」

Matsuhara Management Institute 代表 松原 清恵

成果重視の国「アメリカ」

大学卒業後10年間、日本国内の企業で働いていましたが、私の仕事が本当に社会に貢献できているかと疑問を感じるようになっていました。そんな時、シリコンバレーとワシントン首都圏でインターンシップの話があり、迷うことなく渡米しました。

今回のお話は、ワシントン首都圏でのインターンシップ後に就職したアメリカのシンクタンクにいた時に感じたことです。シンクタンクには、アメリカで6年、そのシンクタンクの日本代表として国内で4年、合計10年間アメリカ人と働きました。

最初に感じた印象は、とてものんびりした国ということです。eメールであれば、日本だと一両日中に返信があるものですが、米国の場合、最速でも返信は一週間くらい後でした。昼休みも2時間程度ありました。のんびりしていますよね。

これは、成果に関する意識が高く、成果物が仕上がってしまえば、ある意味のんびりしていても構わないということだと思っています。

アメリカは、雇用契約を結ぶ際、担当する業務についての内容を細かく記述するジョブ・ディスクリプションを作成します。即ちそのジョブ・ディスクリプションに記載されていないことはやらなくていいのです。

例えば、日本人は終業後、周囲の同僚が退社するまで自分も退社しないということがよくありますが、その考え方がアメリカ人には理解できないようです。一緒に残っていても成果は上がりませんよね。ジョブ・ディスクリプションに記載されたことで成果を上げるという考え方が基本であり、中心です。

最近は少し変わってきていますが、日本的経営の一つに「終身雇用」があります。これについても、例えば、アメリカ人やドイツ人、フランス人、イタリア人などは「なぜ終身雇用なのか」という疑問を抱きます。彼らは期間の定まった業務委託契約ですので、成果が上がらなければ契約は更新されません。

終身雇用にも良い点はあると思いますが、社員一人一人の協力が求められる日本企業においては、各自が成果を出す、つまり成果重視が有効なときがあるのではないでしょうか。

松原 清恵

松原 清恵

Matsuhara Management Institute 代表

調査研究に日米通算30年超従事。
現在、大和大学政治経済学部で専任講師、Temple University Japan Campusで非常勤講師を務める。
一般社団法人経営情報学会正会員。日本ベンチャー学会正会員。

Matsuhara Management Institute

学術および産業の調査研究に従事し、起業、小規模事業経営、国際経営を専門領域とし、国内外の起業を支援しています。

イノベーションズアイ会員情報:Matsuhara Management Institute

海外ビジネス談は、イノベーションズアイ会員企業を対象に取材しています。