海外ビジネス談

パートナーシップを大切にする「韓国企業」

辻下マネジメントコンサルティング 代表 辻下 敏夫

パートナーシップを大切にする「韓国企業」

総合商社に勤めていた頃、米国やカナダから先進的なシステム機器などの輸入や日本メーカーのIT製品をインド・タイ・香港に輸出するなど、さまざまな海外企業とビジネスをしていました。その経験もあったため独立後、海外企業の日本進出支援を行っています。

今回は、韓国のソフトフェア会社の日本進出支援をした時のお話です。

支援した韓国のソフトウェア会社は、中小中堅企業向けERP事業を展開し、韓国では市場シェアNO.1の会社で、私は日本進出における日本国内のパートナー会社の発掘支援の業務に携わることになりました。

この会社は、10年以上前から日本への事業展開を進め、5年前に日本法人を設立しました。競争が激しい日本で成功を収めて、日本のパートナーと共にアジア諸国に拡大したいという戦略を立てています。自社の成功だけではなく、パートナーと共に成功するという考え方が基本になっていました。

日本のマーケットを知っているのは日本人でお客様とより良い関係を続けていくには、パートナーの協力がなければできない。また日本で成功した後もビジネスを一緒に遂行したパートナーと共にアジア展開を図るというものでした。

日本の企業もパートナーを大切にしていますが、成功した後の他国展開も一緒にするということはあまり聞いたことがありません。

この会社の社長は京セラの稲盛氏を師と仰ぎ、稲盛氏の執筆した書籍を経営の手本とし、幹部も自ら、日本語を学び、従業員に対しても日本語教育の支援をしています。日本に対する強い思いがあり人間関係を重視する点は日本と同じであると思いました。

韓国企業は、国内の市場も大きくないため、海外で売る前提で商品開発をします。そのため、パートナーを重要視して大切にするのでしょう。

ビジネスがグローバル化する中、韓国などアジア諸国からは、熱いまなざしが日本に向けられ、期待されています。だからこそ日本企業は改めて自社の存在理由と役割を考えることが必要です。

辻下 敏夫

辻下 敏夫

辻下マネジメントコンサルティング 代表

富士通、ベンチャー起業、SCSKを経て三菱商事(情報産業分野)に20年間勤務。
IT・ネットメディア分野において、新規事業に関する企画立案・立上げ等事業開発に従事し、その後、2010年4月、辻下マネジメントコンサルティング設立し、代表を務める。
韓国技術ベンチャー財団公認コーディネーター、横浜ものづくり専門コーディネーター
2016年年関東経済産業局 経営革新等支援機関に認定、中小企業診断士、知財アナリスト

辻下マネジメントコンサルティング

中小・ベンチャー企業の支援業務、主に公的助成制度の活用と申請支援業務、事業戦略・計画の策定、新規事業の開発とマーケティング開拓、知的財産管理、産学官連携、企業関連連携、海外進出支援。
主に、国・地方自治体の中小企業の公的な支援制度を活用した中小・ベンチャー企業の支援業務。近年、コロナ対策による「事業再構築補助事業」の支援。

イノベーションズアイ会員情報:辻下マネジメントコンサルティング

海外ビジネス談は、イノベーションズアイ会員企業を対象に取材しています。