海外ビジネスに関連するコラム

税務調査で担当官はここを見る!~国際税務編~

株式会社マイツ シニアコンサルタント 片瀬 陽平

国際税務通信~中堅中小企業の海外進出 虎の穴~
  • 第1回 国外関連者に対する寄附金

    今、多くの日系企業は海外へ進出し、海外で活動しています。私も2014年末までメキシコにて日系企業の進出のサポートを行い、実際に、その進出の多さを目の当たりにし、また同時に問題点も多く見てきました。「税務調査で担当官はここを見る!~国際税務編~」は、そのような私の経験から今日本の税務調査でどのようなことが指摘されているのかを、特に国際税務の視点からお伝えできればと思っています。特に国際税務は両国間の問題を抱えるものであり、こちらを立てればあちらが立たず、あちらを立てればこちらが立たずというものでもありますので、お伝えする日本の基準だけではなく、相手国の基準も確認し総合的な判断を行ってもらえればと思います。また、全12回の「税務調査で担当官はここを見る!~国際税務編~」が、皆様の判断材料となれば幸いです。

  • 第2回 「寄附金課税」されないためには?

    さて、「税務調査で担当官はここを見る!~国際税務編~」、第2回の今回は、国外関連者に対する寄附金に該当させないための理論構築はどのように行えばよいかということを中心にお話しできればと考えています。少し難しい論点のためにまずは前回の確認から行います。 

  • 第3回 寄附金 VS 移転価格(赤字販売)

    さて、税務調査で担当官はここを見る!~国際税務編~、第3回の今回は「寄附金課税と移転価格課税」のケーススタディをお伝えしようと考えています。少し実務よりの内容になりますので、実務と規定の考え方を合わせてご確認いただければ幸いです。

  • 第4回 多国籍企業の税逃れ法

    さて、「税務調査で担当官はここを見る!~国際税務編~」、第4回である今回は「税務調査での留意点」のお話しは一旦お休みとして、近年、全世界的に調査リスクが増えている移転価格税制についてお伝えしようと思います。OECDにおけるBEPSの行動計画の設定など、各国において移転価格課税が近年厳しくなっている理由の1つとなったアップル社の事例(ダブルアイリッシュ&ダッチサンドウィッチ)を解説します。少し古い事例となり、もう既にご存じの方もいるかと思いますが、お付き合いいただければ幸いです。

  • 第5回 世界的な移転価格ルールの統一

    前回の「税務調査で担当官はここを見る~国際税務編~」では、近年世界を騒がせている移転価格税制について記載いたしました。お伝えしたBEPS Final Reportには、移転価格の文書化規定(行動13)が記載されています。その文書の中でも新たに各国で作成することとなったマスターファイルについて、各国間の規定に少し齟齬がありますので、今回はこのマスターファイルについて主にお伝えいたします。

  • 第6回 寄附金 VS 移転価格(マネジメントフィーの回収)

    さて、税務調査で担当官はここを見る!~国際税務編~、第6回の今回は「日本本社におけるマネジメントフィーの回収」について記載しようと思います。多くの国に展開している多国籍企業については、日本本社のマネジメントフィーの回収が日本又は各国の税務調査の際に指摘されている現状があります。形式と実態など各国の担当官により解釈の違いがある場合もあり一概に言えない部分ではありますが、下記内容を確認してみていただければと思います。

  • 第7回 もう1つの視点「給与認定」

    今回の「税務調査で担当官はここを見る!~国際税務編~」も第7回を迎え、いよいよ後半戦に突入しました。今回は給与認定について、国税不服審判所裁決要旨検索システムより、平成24年9月に実際にあった国際税務関連の裁決を基に話をさせて頂こうと思います。この国税不服審判所のWEBサイト(http://www.kfs.go.jp/service/)は過去の裁決を自由に閲覧することができ、非常に興味深いものとなっていますので、ご興味がある方は是非一度ご覧いただければと思います(国際税務に関する事例も豊富)。 その中で、本日は役員に対する海外渡航費・滞在費に関する基本的な考え方を裁決に基づいて解説しますので、是非最後までお付き合いいただければと思います。

  • 第8回 使用料と人的役務提供

    さて、「税務調査で担当官はここを見る!~国際税務編~」第8回目の今回は「出向者が提供する法人の無形資産」についてお話ししようと思います。無形資産は字のごとく、形の無い資産でありますが、形が無いために国外関連者間の取引において無形資産の移転があったか否かが不明確であり、税務調査においてもしっかりと確認される項目となります。

  • 第9回 親会社及び子会社の給与負担割合(較差補填金)

    さて、「税務調査で担当官はここを見る!~国際税務編~」第9回目の今回は、親会社及び子会社の給与負担割合(較差補填金)についてお伝えします。この較差補填金についても、税務調査の際には指摘が多い項目であり、特に設立間もない企業からは、どの程度まで親会社で給与負担できるかのご確認を頂くことが多いように思います。 まずは法基通9-2-47にある「出向者に対する給与の較差補填」を確認してみましょう。

  • 第10回 行為計算の否認規程

    さて、税務調査で担当官はここを見る!~国際税務編~、第10回の今回は行為計算の否認というものを確認してみましょう。この行為計算の否認規程は皆様にはあまり聞き覚えがないものかと思いますので、第4回に記載した米アップル社の「ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチ」という節税スキームを思い出してみてください。この節税スキームはアメリカにて合法と解されたために、アメリカはOECDにBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)対策を求め、その結果、全世界を巻き込んでのBEPS PJが始まったのは記憶に新しいと思います。

  • 第11回 VATの取扱い

    お陰様で当コラムは早くも第11回目を迎え、残すところ後2回(全12回)となりました。12週にわたりお付き合いいただき、誠にありがとうございます。さて、今回は日本の税務調査ではなく海外でのVAT(Value Add Tax:日本で言う消費税)のうち、特に質問が多い三者間取引に係るVATの取扱いについてお伝えできればと思います。VATの税額控除に関しては、1国内で完結するものであり、VATを含めた請求が国を超えて日本にきた場合には、日本の消費税から当該VATの金額を控除することができません。どのような場合にVATを含めた請求が日本にくるのでしょうか。内容を確認してみましょう。  

  • 第12回 PE認定課税

    全12回の「税務調査で担当官はここを見る!~国際税務編~」、いかがだったでしょうか。税務調査や各国進出企業が抱えている実際の問題を主に記載させて頂きました。最終回の今回も日本ではなく、各国進出企業が抱えるPEリスクについて、特に指摘の多い中国の実情を踏まえながらお話しできればと思います。

片瀬 陽平

株式会社マイツシニアコンサルタント
片瀬 陽平

税理士業界が縮小の一途をたどる中、国際ビジネスのみが税理士業界
に残された最後の領域であると考え、2013年3月にメキシコに渡る。
渡墨後は、日系企業のメキシコ進出サポートを主に行っていた。
2015年1月に株式会社マイツに入社し、現在東京オフィスにて活動している。
専門は国際税務分野であり、特に中堅中小企業の海外進出サポートを中心に行っている。