香港からのお手紙はいかがでしょう 第1回 人、モノ、金が集まる香港の魅力

傅旭華(フー・シュウワ)
 


すでにご存知の方も多いとは思いますが、改めて香港の概要についてに簡単にご説明させていただきます。

香港の正式名称は中華人民共和国香港特別行政区であり、香港島を中心に200以上もの島を通称香港と呼んでいます。

1842年の南京条約により、香港は当時の清王朝よりイギリスの植民地となり、その後1997年には中国に返還されますが、イギリス植民地時代からの資本主義を維持し、独立国に近い自治権を持っています。

 

概要:

一国二制度により、香港政府による香港基本法に基づいた独自の政治が行われており、

約150年続いたイギリス領時代を維持すると同時に、中国本土との間には事実上の国境が引かれ、中国大陸とは異なる政治、法律、税制、教育を社会体系としています。中国政府が関与しないという約束なので、当然中国の政策の対象から外れることになり、軍隊と外交権を持たない点を除けば、中国大陸とは別の国であり、国際的にも中国とは“別の国”と扱いを受けることが一般です。

人口は約710万人、公用語は広東語と英語、通貨は香港ドル、法体制は英国法のコモンローであります。

 

中国大陸との関係:

香港はイギリス領時代から現在に至るまで、中国大陸に対する不信感・警戒心が根強く残っていると言えるでしょう。要因としてはいろいろありますが、イギリス領だったために共産党政権の影響を受けてこなかったこと、国共内戦や文化大革命、共産主義政策から逃れてきた人々と共に発展した自由貿易港であること、および天安門事件などの存在が上げられます。そして、返還が決定した1985年より、カナダ、オーストラリア、アメリカなどへの移民が大量に流出しました。

 

〈返還前〉

1988年6月4日、中国北京の天安門広場にて中国共産党が民主化デモを武力圧力し、多数の死者が出た事件については、近くに返還を迎える香港はこれに対しどの国よりも先に反応し、大々的に報道されました。結果的には多くの香港人が海外に移住を始めたきっかけともなりました。

また、香港と中国大陸の間には非常に大きな経済格差や生活水準、思想、文化の違いが存在し、突然二国が統一してしまうと、香港に中国からの大陸人が大量に移住を希望し、混乱を引き起こしかねないと懸念されました。これに対し中国側は「一国二制度」を適用し、1977年の返還から50年間はこの制度を保障することを約束しています。

 

〈返還後〉

従来香港がイギリス領であった頃は、中国人は香港への入国にはビザを必要とし、ビザ取得については容易なものではありませんでした。したがって、返還後に突然中国人が香港へ自由に行き来できるようになった場合、香港の治安の悪化や、香港人と中国大陸人との間でパニックを起こしかねないこともあり、現在も中国大陸人は香港に入るための通行許可書の申請を必要としています。同時に、中国大陸人と香港人のパスポートは異なっています。

 

言語:

香港の標準語は広東語であり、北京語とは発音がまったく違います。教育現場では英語で授業を行う学校や、広東語、英語、北京語で教えるところなど、教育方針も様々です。日常生活においては、英語と中国語の頻度を比較した場合、英語の方がやはり多く用いられているといえるでしょう。

文字については画数の多い“繁体字(ハンタイジ)”と呼ばれる漢字を使用し、広東語を表記するための独自の漢字や表現も存在しています。公式のテレビ、文書などは北京語と同じですが、広告、漫画などは広東語で表記されることもあります。

 

経済、税制:

世界有数の自由貿易港としても名をあげ、経済的には8割強がサービス業で成り立っており、多くの製造業は80年代後半に中国大陸に移転しました。

税制については法人税16.5%、消費税、配当税、キャピタルゲイン税、相続税はすべて非課税であり、税制がいかに優遇されているかが一目瞭然だと思います。

 

このように一国二制度の下、香港は独自の文化、生活習慣、法律、通貨などを持っており、中国大陸への入り口として、そして税制制度を売りにして世界中の資本を集めています。

これらが香港の魅力でもあり、人、モノ、金が集まる土台といえるのではないでしょうか。

 
 

コラム 香港からのお手紙はいかがでしょう

  • 第1回   人、モノ、金が集まる香港の魅力

傅旭華(フー・シュウワ)


傅旭華(フー・シュウワ)

香港在住、日本生まれの2代目華僑。
1997年中国 上海へ語学留学、一旦東京に戻りITアウトソーシング企業にて就職。
3年後2004年、家業を手伝う為再び上海へ。
2005年に友人と起業。
その後2007年香港に移住し、邦銀メガバンクにてM&A、企業再編を担当。
2011年より総合商社にて勤務、現在に至る。

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