キムチの国から見たニッポン
一橋大学 大学院生 金成美
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第1回 日本企業は新卒ではなく、新入社員採用をするべき!
国語大辞典(小学館)によれば、国際化とは国際的なものになること、世界に通用するようになることです。日本企業は現在、いつよりも国際化という言葉に迫られているのではないかと考えます。そこで、企業の国際化を進めて行くためには世界に出て行くことも重要だと思いますが、国内にいる外国人をより深く理解することも大事ではないかと思います。本コラムでは外国人の目からみた日本の文化の中で不思議なことを紹介し、その理由や背景を探してみる、または想像してみようと思います。
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第2回 新卒ではなく、新しい働き方を
前回は私が日本に来て不思議に思っていた就活文化に関してお話させていただきました。新卒社員採用ではなく新入社員採用にすべきではないかという疑問、そして一文字代えて「新卒」というプレッシャーから日本の若者たちを自由にして欲しいという企業人事の方々への小さな提案だったのですが、今回はなぜ、新卒採用というものが日本で当たり前のように思われるのかについて考えてみたいと思います。 ■「新卒」は日本の企業文化と言語から まず、なぜこのような習慣が定着したのか、文献から得られる情報を元に考えてみようと思いました。韓国には経営史という分野があまり活発ではないのですが、日本には経営史関連文献が割りと沢山あるのでそれを読んでいくことにしました。そのうちなんとなく、なぜこのような習慣が定着できたのかが分かってきました。 私はそこに企業文化と言語という二つの側面に基づく理由があると思います。第一に、企業側の面は、終身雇用や年功序列など日本企業の特徴に繋がる問題です。まず、終身雇用ですが、日本には一つの職場で働くことが決まったら、その後何十年もそこで働いて生きていくという習慣がありました。なので、最初に選ぶ職場は一生に繋がる可能性が高く、皆就職活動と言うものに必死になるのではないかということです
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第3回 就活スーツはペンギンみたい?
以前電車の中でスーツを着た女性二人が話しているのを隣で聞いてびっくりした記憶があります。彼女たちは、就活をしているようで、1人がちょっとしゃれた靴を履いているのを見て、他の1人が指摘しているようでした。 ふっと私も彼女の靴に目を向いてみると、なんと、ただの真っ黒の靴でした。光ってるのかなと隣の人と比較してみたら、確かに少し光ってるかも。 でもそんなに目立つものではありませんでした。 「就活スーツにはボタンの数か決められておりまして…」 友達がスーツを買いたいと言って、ある洋服店に一緒に行った時に聞かれた言葉です。友達も私も外国人で、就活用のスーツを買うつもりではなかったので、その言葉を聞いて2人とも驚きました。ちなみに店員さんは就活用じゃないスーツはもっと安いですよと言ってくれました。
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第4回 私が好きな日本
「なんで日本人ははっきり言わないのかという問いに「日本人の言葉がうまいということは、はっきり言わなくても相手に気持ちを伝えることなんだ。断ることで傷つけてしまうかも知れないので、言葉でも傷つけないように気をつける」という言葉が返ってきた。その言葉で、日本人の曖昧さも、裏も訳も分からないような笑顔も、初めて会った人なのにびっくりするほど優しい相手の行動も、再び好きになれることができた。今も時々、はっきり言ってくれないことに対してイライラすることはもちろんあるが、相手がどのように考えているのかを考える、という優しさがとても好きなので、以前のように人を信じられなくなるのではなく、もう少し軽く考えてくれてもいいのになという自分の中の小さな希望に変わっている。
一橋大学大学院生
金成美
一橋大学商学研究科博士後期課程 一橋大学イノベーション研究センターリサーチャー
修士テーマは破壊的イノベーションと新興市場:POSCOのFINEX技術開発を事例にあげ、韓国鉄鋼産業の成立歴史/最新技術開発におけるイノベーションと日韓比較と言うダブルフィールドで経営ヒストリーとイノベーションを専攻とする。