ハラールを合言葉にイスラム圏と日本の架け橋に
一般社団法人ハラル・ジャパン協会 代表理事 佐久間朋宏
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第1回 最後のBIGブルーオーシャン、イスラム市場
昨年はまさに「ハラル元年」「ハラル初動」というにふさわしい年で、私たちの協会も北海道から沖縄までセミナーや研修会・交流会合わせると年間50回以上開催していました。 皆さんが疑問に思うことは、「HALAL、ハラル(ハラールとも言います)」なんて聞いたことが無い、誰も知らないのになぜそんなに大騒ぎするのか?ハラル?商売になるの??ということかと思います。 私たちは4年ほど前からハラルの勉強をしてきて2012年5月に準備委員会を発足、2012年10月に設立となりましたが、当初予想していた展開を大きく超えるスピードで動いています。 □ハラルとは何か? HALALとは、イスラムの教え(シャリーア法とイスラム原理)で許された、「健全な商品や活動」のことのライフスタイル全般を意味します。
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第2回 イオンにもイスラム教徒向けの礼拝所が設置
2013年9月7日、東京オリンピックの開催地決定に日本中が沸きました。 今回のオリンピック候補地選びでは初のイスラム圏開催としてトルコが話題になっていましたが、世界人口の25%を占めるイスラム教徒の存在感はますます増してきています。 日本は石油や石炭などのエネルギー輸入を通してイスラム諸国とは良好な関係にありますが、日本からの食品輸出やサービス産業の市場としてはほとんど存在していませんでした。実は今回のこの開催地発表の前後に日本でイスラム教徒の方々を迎え入れる新たな動きがあったのです。2013年7月25日関西国際空港がイスラム圏集客のためにハラル※対応を発表。8月16日プレミアム・アウトレット御殿場にイスラム教徒用の礼拝所が設置。12月1日には成田国際空港(成田空港)がイスラム教徒向けの礼拝所を設置という具合に、国内に礼拝の為の施設が続々と設置されています。
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第3回 イスラム教徒の食事対応
■日本ではイスラム教徒の食事対応をどうしているのか イスラム教徒は日本のどこにいるかご存知ですか。訪日イスラム教徒は28万人(2012年)、在日イスラム教徒は18.5万人(2011年)と言われていますが、食事に関して言えばその市場規模は在日イスラム教徒の食事が911億円、訪日観光客では266億円(ハラル・ジャパン協会推定値)となり決して小さい市場ではありません。観光で言えばさらにお土産という大きな市場も存在します。日本を訪れるイスラム教徒の多くはカタカナと漢字で表示された成分表示を読むことができない為に、コンビニエンスでもお土産を買うにも何を買っていいものか分からずに困っているのです。
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第4回 結局、マーケティングなくしてハラルの成功はない。
最近ハラルという言葉の認知度がとても高まりました。そのことは歓迎ですが、心配なこともあります。それは認証を取ればビジネスが成功するという考え方、つまり理解度の浅さです。この理解度でビジネスを進めると結局は遠回りするかもしれません。認証制度についてはイスラム的な進め方を非合理と考える上司を担当者が説得しきれなかったり、あるいはハラル対応策を認証団体の指示のまま計画したところ、コストが想定以上にかかり、事業が前に進まなくなってしまったりするケースを見てきました。 それ以前にそもそも味や色など気に入らない商品だったらハラル認証が付いたから急に好きになるわけがありません。ハラル・ジャパン協会としてはイスラム教とハラル認証制度の理解、そしてマーケティングせずに成功はないと考えています。
一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事
佐久間朋宏
略歴
1964年 岐阜県下呂市生まれ
1991年 国立岐阜大学工学部工業化学科卒業
1992年 株式会社中広 入社
2006年 常務取締役管理本部長でIPO準備
2007年 名古屋証券取引所(証券コード:2139)に上場
2009年 株式会社東京事務所、日本エリアマーケティング支援機構設立
2012年 一般社団法人ハラル・ジャパン協会設立代表就任