2015年10月15日
ヨソモノが新聞に特集されました
インバウンド旋風は私にも吹いてきました。先月、神戸新聞で私のアップ写真が大きくカラーで入った記事が紹介されました。記事では、神戸市はインバウンド観光の先進地であること、明治以降に先駆けて訪日外国人を受け入れ、現在も日本人と外国人が共存している日本のモデルとなる都市だということを改めてお話しました。歴史と文化の相互理解を大切にしてきた住民の考え方が素晴らしい魅力ある神戸になったことを強調したつもりです。私は、神戸生まれではありませんが、海の向こうの和歌山から神戸を憧れて眺めて育ってきました。現在も神戸で働きながら、週末は和歌山で過ごしていますが、ずっと神戸で暮らしている方々とは、少し違った視点で町の魅力を感じることができるところがあります。
このように地域の価値をヨソモノが評価することは、地域住民にとってもそれをきっかけに「あーそうなんだと」と素直に地元の価値を再認識して、住民間で共感しはじめ、地域づくりや地域観光振興のスタートがきれるものです。
ヨソモノ・ワカモノ・バカモノ人気
さて、うちの大学生は三拍子(ヨソモノ、ワカモノ、バカモノ)揃っているというお話をしましたが、この大学生たちを地方の観光振興プロジェクト参加させるのは効果的で人気があります。
「神戸のワカモノ(大学生)の意見を伺いたい」という地方の市町村からのオファーをいただくことがよくあります。神戸の大学生というブランドで、大阪の大学生より少しセンスがあるような気がするのかもしれません。
最近人気のインバウンド対応をはじめとして、地域再生や交流人口の増加といった行政課題を解決する切り札に「観光」が使われることが多くなってきました。1990年代のIT革命と同時に大型、大量、高速の団体型観光(=マスツーリズム)から高品質、少量、多様な地域主導型観光(=ニューツーリズム)に観光形態が転換され、全国では住民参加型のプロジェクトが数多く展開されるようになっています。
バカモノが地域の観光を評価する
住民参加型のプロジェクトでは、古いマスツーリズムの成功体験をベテランが礼賛し、、現在を嘆き、未来を憂う、こんなネガティブパターンをよく見かけます。行政マンや地域を変革したい新規参入者のモラールを下がってしまいます。このような閉塞感のワークショップ打開策に神戸の大学生は効果的です。何より過去を知らない。地域を知らない。人間関係もわからない。そして利害関係がないというバカさ加減が最大の利点です。地域の叡智を集めて創出されたプログラムを体験して、背景も無視して思ったままのランキングをつけてしまいます。
体験シーンでは、漁師さんの船さばきに黄色い声で「かっこいい」と大声援、農家料理体験リーダーを「おかあさん」とすぐに慣れ慣れしく、なついてしまい、料理を食べると「やばい」という最近の最高のおいしさ表現を行い、スマホで撮影してすぐにSNSにアップしてしまいます。
大学教授の地味なコメントより大学生のポップなテンポとリズムカルな反応が地域観光の担い手のテンションを高めてくれ、地域は元気になっていきます。一方ボランティアガイドでホストのふりをするゲスト、自己満足のためにしゃべりつづける歴史体験など、取扱注意のコンテンツは、さっさとランキング外に葬り去ってくれます。
このように三拍子そろった大学生は、ワンパターンの地域の意思決定プロセスをパラダイムシフトするエネルギーがあるのかもしれません。
インバウンドのトレーニングに神戸の大学生を
マスツーリズムから転換された地域が主体のニューツーリズム(着地型観光)のプログラムは、訪日外国人の人気も高い傾向があります。地域ならではの魅力、住民との交流が旅の本質であり、感動させてくれるドラマです。インバウンドのリピーターづくりにはぜひ神戸の大学生を使ってトレーニングを重ねてください。観光系の学生には現場経験が一番の教育です。地域観光振興と神戸の大学生のwinwinプログラムを提供いたします。いつでもご連絡ください。
日本インバウンド教育協会代表理事
小野田金司
神戸山手大学 学長補佐
現代社会学部観光文化学科教授
一般社団法人日本インバウンド教育協会 代表理事
ロックミュージシャン
1957年和歌山市生まれ。週末和歌山市、平日神戸市在住。
星林高校、大阪経済大学経済学部卒業後、1980年近畿日本ツーリストに入社、主に和歌山支店にて勤務。1999年ジャパンエキスポ南紀熊野体験博でリゾート体験イベントを担当し、観光の変革の兆しを感じて休職、44歳で和歌山大学経済学研究科(大学院)にて地域マネジメントを学び直し、翌年近畿日本ツーリストを退職。
起業して和歌山マリーナシティでドッグパークを経営するが、2003年上京し、友人が起業した株式会社コロネット取締役事業部長に就任、「好きを仕事に!」をテーマにビーズアクセサリーやプリザーブドフラワー等のハンドメイド業界で女性を企業家支援する事業の開発、営業やイベント企画を担当。
2006年10月新しい観光系の大学開学に併せスカウトされ、不安定なベンチャーから安定した大学教授に転職して神戸に。2007年4月神戸夙川学院大学観光文化学部開学、観光・イベント系科目とキャリア教育を担当。地域研究所長として、産官学連携も積極的に実施し、大学では4万人を集める日本最大のチャリティ・ロックフェス「COMIN’KOBE」を開催し実行委員を担当。このようなイベント実践を授業に取り入れ、文科省の就業力育成事業やインバウンド観光人材育成事業などと展開し実践する。2013年学部長に就任。
2014年一般社団法人日本インバウンド教育協会設立し、代表理事に就任したが、夙川学院の資金運用失敗等で、神戸夙川学院大学は募集停止が決定する。それと同時に副学長に就任し、学生と教員の転学に奔走し、2015年4月より神戸夙川学院大学のほとんどの在学生約400名と教職員26名を神戸山手大学に新設された観光文化学科に無事転入学することができた。
2015年の「COMIN’KOBE」開催は、会場である大学の募集停止で危機を迎えたが、クラウドファンディングで2000万円強の資金を調達し、無事乗り切った。自らも1982年より和歌山で活動する「ジャマ―バンド」でボーカルを担当する現役ロッカーでもある。