海外ビジネスに関連するコラム

ハラールを合言葉にイスラム圏と日本の架け橋に 第1回

最後のBIGブルーオーシャン、イスラム市場

一般社団法人ハラル・ジャパン協会 代表理事 佐久間朋宏

 

あけましておめでとうございます。

ハラル・ジャパン協会の佐久間です。

 

この1年で、日本にはおめでたいことがたくさん起こりました。

東京オリンピック2020年招致決定!! 訪日観光客1000万に突破!!

和食 無形文化遺産登録!!富士山 世界文化遺産登録!!

こんなにビッグニュースが目白押しの年はなかったと思いますが、メイドインJAPANをこよなく愛する私としては、日本の良さやサービスが世界中から評価されるのは当然だと思いました。

 

昨年はまさに「ハラル元年」「ハラル初動」というにふさわしい年で、私たちの協会も北海道から沖縄までセミナーや研修会・交流会合わせると年間50回以上開催していました。

皆さんが疑問に思うことは、「HALAL、ハラル(ハラールとも言います)」なんて聞いたことが無い、誰も知らないのになぜそんなに大騒ぎするのか?ハラル?商売になるの??ということかと思います。

私たちは4年ほど前からハラルの勉強をしてきて2012年5月に準備委員会を発足、2012年10月に設立となりましたが、当初予想していた展開を大きく超えるスピードで動いています。

 

ハラルとは何か?

HALALとは、イスラムの教え(シャリーア法とイスラム原理)で許された、「健全な商品や活動」のことのライフスタイル全般を意味します。

( 発音の問題ですが、日本では「ハラル」と「ハラール」と両方が使われています。)

ハラルの反対は「ノン・ハラル」あるいは 「ハラム」と呼ばれ、これらイスラム教徒にとっては有害な物、中毒性のある物を意味しています。従ってイスラム教徒は、ハラルであると正式に認められるもの以外の食べ物、 飲み物などは避ける傾向にあります。

ハラルとは、こうした安全な生活を示すためのガイドラインであり、イスラム教徒にとっては無くてはならない規準なのです。 しかしハラルとハラムをはっきりと区別することは 非常に複雑で難しく、基準も国ごとに異なります。

また、ハラルは食品だけでなく、化粧品や医薬品、介護用品、金融など様々なサービスにも適用され、例えばサプリメントや飲食店、製品原材料や観光業など日本の得意とする製品やサービスの領域にも大きな可能性があります。

 

この市場規模は世界人口の25%を占めるイスラム人口16億人(2008年が16億人、2015年には20億人に達するとされる)であり310兆円(出典:IMP3、2006)と推定されます。

イスラム文化と無縁の日本人にとっては目の前に突然現れたとてつもなく大きなブルーオーシャン市場だったのです。

昨年から今年にかけて安倍首相の訪問国の多くがイスラム国であることからも、日本国の力の入れようがわかります。

なぜ今、日本がハラルブームになったのか

機械などの工業製品の輸出産業ではアメリカ、ヨーロッパ、中国などの非イスラム圏とのビジネスが主流としていました。(資源輸入では古くからイスラム国と日本は消費国として良好な関係です)特に近年は中国貿易の拡大はめざましいものがありました。ところが、2012年の尖閣問題以降は中国ビジネスがギクシャクし、多少縮小するなかで、次の成長市場として最も注目されたのがASEANでありASEANの中でも人口の多いインドネシアが有望と言われました。そのインドネシア2億4千万人の人口のうち実に2億人がイスラム教徒であることからイスラム戒律のハラルが話題となったのです。インドネシアは世界で最も多くのイスラム教徒の国だったのです。

この「ハラル」というのは一体何なんだ?となった訳です


日本の政府官公庁が動く

さらにASEANシフトは貿易だけではありませんでした。観光立国という国策に掲げる日本にとって最も来日の多い国は中国であり、2番目は韓国だったのですが、震災、尖閣問題、竹島問題が打撃となりこの両国からの訪日観客が激減してしまったのです。それを補う形で伸びたのがインドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムといったASEAN諸国からの訪日観光客でした。日本国政府は今後大きな拡大が予想される東南アジア市場に対して、平成25年に「日ASEAN交流40周年」を迎えるのを契機に、オールジャパンによる訪日促進プロモーションを本格的に展開していくこととして、 東南アジア市場を韓国、中国等の5大市場に並ぶ主要市場へ成長させることで、「平成28年:1800万人」目標達成のエンジンとするとともに、送客元の多様化により、特定市場に過度に依存しない構造を作り上げ、訪日外客促進のリスク分散を行うことを決定しました。



そして政府が掲げた2013年「訪日観光客1000万人計画」を達成したわけです。

東京オリンピック、和食の世界遺産、富士山の世界遺産と大きなオマケまでついてきました。

「ハラル」がなぜ話題になったかこれでお分かりですね

次回からは、日本企業の取り組み実績などをご紹介しながらハラルをビジネスにどう活かしていくかをお伝えいたします。


一般社団法人ハラル・ジャパン協会の1月の予定

1月11日 ハラルマルシェ https://www.halal.or.jp/event/marche/

1月15日・16日 平成25年度沖縄観光国際化ビックバン事業

「日・ASEAN観光交流会議」にブース出展
1月16日・17日 全国観光物産見本市・2014春に出展
1月23日 ハラルビジネス講座 https://halal.or.jp/event/lesson/

1月23日 ハラルビジネス交流会 https://halal.or.jp/event/ex/

1月29日 茨城県つくば市ハラルセミナー 

https://www.city.tsukuba.ibaraki.jp/14216/14656/016191.html




 

佐久間朋宏

一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事
佐久間朋宏

略歴
1964年 岐阜県下呂市生まれ
1991年 国立岐阜大学工学部工業化学科卒業
1992年  株式会社中広 入社 
2006年 常務取締役管理本部長でIPO準備  
2007年 名古屋証券取引所(証券コード:2139)に上場
2009年 株式会社東京事務所、日本エリアマーケティング支援機構設立
2012年 一般社団法人ハラル・ジャパン協会設立代表就任