にっぽん人よ、したたかになれ! 第2回 冷静と情熱のあいだ

内山雄輝
 

 

中国人と付き合うことに長けていると言える日本人はなかなか少ない。理由は至って簡単。日本人は中国人と接する機会が意外と少ない。

ちょっと中華を食べに中華料理屋さん立ち寄ったり、マッサージ屋さんに立ち寄る時に接するくらいだろう。

 

中華が嫌いで、マッサージも国産に頼る人は中国人と話す機会もないだろう。

 

よく話せる機会といえば、夜の街に繰り出す時だ。予算が限られたお父さんたちの強い見方が気さくなママが迎えてくれる中国人クラブ。そこで中国の色々な地方から来ている色々な境遇な方と話ができて、ああ、中国人も頑張ってるんだなと中国人の心にちょっと気づく。

 

良くいる中国人3つのパターン

 

会社で目にする中国人は三パターンいる。まずはなんとかがんばってスキルアップしようと意気込む若者たちだ。

中国で普通の生活を営む家庭に生まれて日本にやってきたお子さんたちである。しかし、普通の家庭といってもお父さんお母さんが毎日がんばって朝から晩まで子供の学費の貯蓄のために働きそのお金で日本に送り出された若者たちである。

彼らは熱きココロと日本に馴染もうとする実直さを持っている。努力する人は本当に努力し着実に自分のスキルをあげながら幸せな家庭を作ろうと努力している。その中でも努力を飛び越えて自分の力を試してみたいと独立に踏み切る若者もいる。綿密に分析しながら独立に踏み切るものもいれば、着実な成長に耐えられなくて勝負を張るものもいる。独立心旺盛な彼らであるが、至ってまじめで友達を大切にし、礼儀正しく、付き合いにくいという感覚はない。

 

もう一つのパターンは、中国の超エリート校を卒業して日本にやってきた一部の若者たちだ。彼らは自分に相当の自信を持っている。いち早く「上」に行くことをしたたかに模索している。人より「上」に行きたい、ポジションも、給与もステータスも生活水準も、マンションも、彼女も、自分のメンツが保てるものを手に入れたい。それが強いモチベーションとなり人一倍に努力してそれを確実に達成していく。超難関のエリート大学を卒業しただけのことはあるその知性と中国人が本質に持つ交渉力と勝負強さでどんどん上に上がっていく。そして、遣り尽くしたと感じたら更なる自分の成長の場を求めてジョブホッピングする。日本人にとっては付き合い辛く思うが、正直グローバルではこのような人材は当たり前で、企業が扱い方をよくマネージメントできれば、彼らがいる間に企業も次のステージにステップアップできる。

 

最後のパターンは、中国の超お金持ちのご子息方だ。実は、日本人からしてみたら半端ないお金持ちのご子息が日本には結構いる。しかも彼らは我々の中国人感を打ち崩すほどにいい人たちばかりだ。彼らは働く必要がない。いわゆるセレブだ。日本のそれなりの大学を卒業して社会経験の為に日本のそれなりの企業に就職して一般社会を経験する。主に家業は日本とゆかりのあるビジネスを行いつつ、中国国内でも大成功している。それを成し遂げた親御さんは超お金持ちであるが、大変な時期を乗り越え今に至っている感覚を自分の子供たちにも植え付けたいと思っている。だから、一度社会で働くことを求めているのだ。中国に帰れば、空港に運転手付きのロールスロイスファントムが迎えに来て、護衛が付く超セレブな彼らだが、本当に性格はいいやつばかりなのである。

 

「理」をもって「利」を制する

 

中国人と日本人は何が違うのか?

はっきり言って本質は変わらない。同じ人間である。

色々な環境で育ち、色々な性格な人がいて、みんな色々思い悩みながら、それでも夢と希望を持って生きている。

 

敢えていうなら、資本主義的社会主義の中で育った日本人は人と違うことを恐れて冷静すぎて、社会主義的競争主義の中で育った中国人は人と同じであることを恐れて情熱的すぎるということであろうか。

 

日本には73万6000人以上の中国籍の居住者がいる。更に僕の息子のように中国人とのハーフや日本に帰化した中国人を入れると、80万人以上の華僑がいるのではないかと推測する。

そんな環境で、なんで、中国人と接する機会は少ないのだろう。

 

それは、きっと僕たち日本人が中国人を避けているからに他ならない。

 

政治に利用され形作られた中国人が日本人に抱く感情と日本人が中国人に抱く感情は、利権がもたらした蜃気楼である。日本人が日本人を恨んで殺す事件、無駄に暴力を振るって亡くなる幼き赤子がこの日本にも存在する。嘘をついて人を騙し、大損害を被らせる日本人がいることも事実である。

 

野蛮なのは中国人だけではない。人間は皆、野蛮な心を持ち合わせているのだ。

 

僕は中国人と仲良くなれとは言っていない。本質を理解すべきだと言っているのだ。

「理」をもって「利」を制する為に日本人がすべきことは、本質を理解することだ。日本人こそが国際社会の常識ではないのだ。

 

現状を鑑みると、幸いなことにメディアは支配されても経済活動は制限されていない。国家というのものは、稼いでナンボである。稼げれば社会保障は充実し、国際社会と平和に貢献できる。

 

その稼ぐ為の鉄則は、金とニーズと関係があるところから最大限稼ぐということだ。

 

中国には、そのニーズと金がある。そして長年の関係がある。

それが1円にもならない我々日本人の反中感情で阻害されている。個別の中国人を恨むのは結構だが、経済活動に貢献するすべての中国人を悪く見るのは単なる偏見である。

 

この美しくない冬の蜃気楼は果たしていつまで続くのか。早く春が来てほしい。そうすれば海面と大気の温度差など気にならなくなるはずなのだ。

 

僕の耳には鳴り止まない音がある。

チャリン、チャリン、チャリン・・・・・

 

奈落に落ち続ける日本人が稼げるはずのお金の音が耳を打って眠れない。

 

梅であろうと桜であろうと冷静と情熱のあいだに心の花が咲けば、春の訪れをきっと皆が感じられるはずなのだ。

 

 

 
 

内山雄輝

株式会社WEIC代表取締役社長
内山雄輝

早稲田大学第一文学部 総合人文学科
中国語・中国文学専修

【役職】
株式会社WEIC 代表取締役社長
维酷(上海)信息科技有限公司 董事長

MIJSコンソーシアム(Made In Japan Software Consortium)理事 
中華人民共和国 四川省成都市情報産業局 ソフトウェア業界協会顧問
一般財団法人国際IT財団 評議員
一般社団法人日本中華総商会 幹事
中小企業庁地域中小企業海外人材確保定着支援事業運営委員会委員

【プロフィール】
早稲田大学第一文学部中国語・中国文学専修卒業後、WEICを設立。人間が言葉を覚える過程の言語学理論をシステム化し、中国語をはじめとする語学eラーニングサービスを日中両国で展開。中国でのビジネス経験と人脈を活かし、日本企業の中国進出を支援。地方政府および現地企業との戦略提携及びグローバル人材育成戦略の豊富なノウハウに定評がある。日本の中国語学習者1000万人創出とITによる外国語教育の改革を目指す。「世界で活躍できる人材を創る」をモットーに、事業家と日中間コネクターの両面で活躍中。夫人は中国人で、数多くの日本企業の中国法務を代弁する著名な弁護士を義理の父に持つ。

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