分析よりも勇気、''経験より若さ''が世界で革命を起こしている! 第2回 若者が世界に表現することとは?

牧浦土雅
 

今回は、世界を驚かせ、大きなインパクトを与えた若き(当時)二人をご紹介したいと思います。

 

問題意識を持つこと

まずは、東アフリカ経済の中心・ケニアから。首都ナイロビから6km離れたところになる「ナイロビ国立公園」に住むリチャード・トレラ君、13歳。

 

この公園では、家畜を食べてしまう野生のライオンが大きな問題となっていました。自らが育てる牛はライオンに殺され、そのライオンは「農民の敵」として殺され、その数はこの10年間で1.5万頭ほどまでに激減。

 

ライオンを追っ払う対策の一つとして、「人間が夜中に懐中電灯を持って歩くと、その光にライオンは逃げていく」というものがあります。

 

そんな中、当時11歳だったリチャード君は、この問題を解決するある方法を思いつきます。




思いついたらまずやってみる

 

自転車に付いているLEDライトと、車の古いバッテリーをソーラーパネルで発電させ、不規則にライトが点滅する「ソーラーライト」を開発。その後、近隣75の農家がこのライトを導入し、ライオンによる被害は一切無くなりました。

 

リチャード君の環境は、途上国のケニア。決して開発環境が良いわけではもちろんありません。しかし、そんな状況下でもしっかりとした問題意識と行動力で、画期的に社会問題を解決しました。

 

限られたリソースと知識で、「これってひょっとしたらできるんじゃないの?」という思いが人々を日々困らせている問題の解決に繋がりました。


 

TEDで話すリチャード君】


パナソニック(旧松下電器)創業者の松下幸之助氏はこう言っています。

 

‘とにかく考えてみることである。工夫してみることであり。そして、やってみることである。失敗すればやり直せばいい。’

 

日本では、「最近の若者は内向きだ」とよく言われます。‘考える’という行為は多くがやっていると思います。しかし、実際にやってみたいと物事何も始まらないでしょう。

 

英語には、このようなことわざがあります。

 

‘Actions speak louder than words’

 

直訳すると、「行動は言葉より大声で話す」つまり、言葉で伝えるよりも行動で表した方が早い、説得力がある、という意味です。リチャード君は、「若者=経験不足」という固定概念が先進国よりも強いアフリカで、このライトをとりあえず自分の農家で導入したことから全ては始まりました。

 

しかし、行動よりも‘言葉の力’で世界に刺さるメッセンージを残した女性を次はご紹介します。

 

行動を言葉で表現する

1992年、ブラジル・リオで開催された「国連環境開発サミット(地球サミット)」で、当時12歳のセヴァン・カリス=スズキさんが行なったスピーチ全文書き起し)は、全世界の‘大人たち’の言葉に深く胸を打たれました。

 

実は、現在、環境活動家として活動されているセヴァンさんに、僕は2012年末に開催されたイベントでお会いしたことがあります。日本でも話題になった彼女のスピーチ。その言葉一つ一つには‘パワー’が感じられ、それを目の前で聞いていた大人たち(主に政府関係者)はどう思ったのでしょうか。

 

‘私の国(カナダ)での無駄使いは、大変なものです。買っては捨て、また買っては捨てています。それでも物を浪費しつづける北の国々(先進国)は、南の国々(途上国)と富を分かちあおうとはしません。物があり余っているのに、私たちは自分の富を、そのほんの少しでも、手放すのが怖いのです。’

 

彼女は、‘若いから’ではなく、一国民として、感じていることを発言したのです。何の建前も無く、本当にシンプルな、どのような環境問題に対するアクションを今、各国政府は起こす必要があるのか。世界にストレートに問いかけました。



 


‘あなたがたはうつも、私たちを「愛している」と言います。しかし、私は言わせてもらいたい。もしその言葉が本当なら、どうか、本当だということを、行動で示して下さい。’

 

若者の自己表現とは何か?

 

リチャード君とセヴァンさん、双方ともに、人々に大きな影響を与えたことは確かでしょう。

 

問題意識を持ち、それを何らかの形で発信する。ライトの開発と、スピーチを実際にした、という点では両方‘アクション’をとっていると言えます。

 

前述しましたが、「近頃の若者は内向き」と言われています。しかし、そんなことは無いでしょう。僕が世界で会ってきた若者は、全員それぞれ異なった考え方を持っています。要は、それを‘形’として世に発信できるか。

 

若者の特権の一つに、「リスクが小さい」ということがあげられるでしょう。役職や建前、責任などの負担があまりなく、思うがままに本来ならば行動することができるはずです。

 

やりたいことをやるのも、これまた一つの自己表現。自分のプライドなど気にせず、「これはやれる!」と思ったら、発言、開発、起業なり一歩をまずは踏み出すことが大切だと感じます。

 

‘若者と大人’という境界線が無い、セヴァンさんのようにお互いの意見を真にぶつけ合うことのできる世界が今まさに必要とされているのではないでしょうか?

 

 

 

 

 
 

牧浦土雅

Needs-One Ltd.共同創業者
牧浦土雅

1993年東京都生まれ。英国ボーディングスクール卒業後、ギャップイヤーを取得し、現在英国ブリストル大学在学中。

インドのスラム街に住む40万人に貧困サイクルを抜け出す様々なサービスを提供するNGO「Asha Society」:アンバサダー。

DVD教材を利用して途上国の教育格差の解消を図る国際教育支援NPO「e-Educationプロジェクト」:ルワンダ代表  ルワンダを中心に現在は、東アフリカのベンチャー企業のアドバイザーを務める傍ら、ITから農業と、幅広い分野でのプロジェクトも受け持つ。

日本企業の東アフリカ進出へのコーディネートも行なう。国際協力機関と農民とを繋げる農業ビジネスなどにも携わっている。

著書『アフリカ・奇跡の国ルワンダの『今』からの新たな可能性』(DBS社) オフィシャルサイト/ブログ:www.dogamakiura.net

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