海外ビジネスに関連するコラム

トランク1つで上海に殴り込み 第2回

上海までの片道キップ

迈机投資管理顧問(上海)有限公司  代表取締役社長 榎本 あゆみ

 

上海に行くことを決めてからの行動力は自分でも目を見張るものがある(笑)。

片っ端から知り合いに連絡をし、上海にいる知り合いを紹介してもらった。以前から御世話になっている上場企業の社長さんに紹介してもらった方の家に(男性、笑)泊めてもらうことだけ決めて上海へ乗り込んだ。

中国語は「ニーハオ」しかわからなかった。

東京から上海までの片道キップを購入するときは迷わず「春秋航空」を選んだ。当時の春秋航空は就航したばかりで非常に話題となっていたが、実際に搭乗したことある人は少なく憶測が飛び交っていた。危ないんじゃないか、汚いんじゃないか、狭いんじゃないか、と、なので自分の目で確かめたかった。東京駅から専用のバスで茨木空港へ500円で行くことができる。これはかなりお得。

東京駅には大事な人が見送りに来てくれた。私は「自ら望んで上海に行くのだから、別れのときには絶対に泣かない」と心に決めていた。しかし実際にいざバスの窓を挟んで、東京の残る人と上海に行く人と線引きをされたとき、涙が溢れてきた。悲しいわけではなかった。奥底にあった不安な気持ちが湧き出てきてしまったのだ。それでも、私がメソメソしてはいけないと気丈に手を振り東京駅を後にした。

茨木空港は狭いものの、とても綺麗だった。登場口から飛行機まで滑走路を自分たちで歩くという新しい経験をし、搭乗。機内は座席の感覚が狭かったが、上海に単身で乗り込む身としてはむしろそれくらいが丁度良かった。

上海の浦東空港に夕方到着。社長さんに紹介してもらった人に会うために、その人が働くお店に行くことになっていた。とはいえ、もらった情報はお店の住所だけ。だいたいの場所は日本で調べていたが、現地の人に話しかけられないし文字も読めないし、という状態。タクシーの運転手さんとコミュニケーションとれないし、もし全然違う場所に連れて行かれてもわからないし、というリスクを考え自力で浦東空港から地下鉄に乗って目的地である1号線の「衡山路」駅に到着した自分のガッツは、今振り返るとすごいと思う。

お店に着くとそこで私を待ってくれていた。私に紹介したいと他にも日本人の女性が来てくださっていた。後々、彼女には非常に御世話になるのだが、このときは

「え?女子が日本から上海に来るのに荷物がこれだけ??」

と非常に驚かれた、という印象が強い。そう、それほど小さなカバン1つで上海にやってきた。しかも、ホテルの予約もせずにやってきた。それから1週間、紹介してもらった方の家に居候させていただいた。その間には、私が先に家に帰り内鍵を閉めてしまったらしく、家主が部屋に入れずにマンションの管理人も来て家のドアを叩きながらベルを鳴らしながら、爆睡している私を起こす、という事件もあった。。。

これ以上迷惑をかけられないということで、1週間後に引越すことに。紹介してもらった日本人女性がルームメイトを探しているということで早速部屋を見に行った。そして、その女性も驚く早さでその場で即決。

「私、ここに住みます!よろしくお願い致します。」

そのとき台湾人のオーナーさんの代理人にも会ったがとても人懐っこく優しい人だった。こうしてたった1つのかばんしか荷物のない私はすぐに引越し完了。

家が整いやっと落ち着くことができた。翌週末には台湾人のオーナー代理と一緒に上海の隣にある蘇州に行った。その当時、アパレルブランドを手がけており、工場のある蘇州に行きたいと思っていた。そのことを彼に話すと、

「じゃあ一緒に行こう!」

と言ってくれたのだ。私と彼は英語で、そして彼は中国語で工場の人とコミュニケーションをとり通訳をしてくれた。

こうやって少しずつ現地の知り合い・友達を増やしながら上海生活は幕を開けた。

 

榎本 あゆみ

迈机投資管理顧問(上海)有限公司 代表取締役社長
榎本 あゆみ

一度しかない人生を、思いっきり楽しみたいという思いから自分で事業を行う事に興味を持つ。真の意味でのグローバル人材になるために単身で上海へ。ネットワーク0の上海という土地で、2年目の誕生日会には100人もの人が集まってくれるまでの人脈を築く。

いわゆるお嬢様学校に10年通った後、ベンチャーというフィールドへ飛び込み周りから驚かれる。通常、新卒を採らない起業家支援の会社に入社。数千人規模のイベント責任者、起業家向けプログラム企画運営など携わり20代で千人近くの起業家と出逢う。
より困難でより好奇心を掻き立てられる選択をしていく中で、上海で事業をすることを決め小さなスーツケース1つで旅立つ。日々、中国ビジネスで奮闘中。

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