海外ビジネスに関連するコラム

サラリーマンからアフリカ支援へ 第1回

普通のサラリーマンがアフリカへ旅立つ日

NPO法人ミレニアム・プロミス・ジャパン  伊藤正芳

 

JICAの青年海外協力隊に参加した事が始まりだった

 

ごくごく普通に会社勤めをしていた私が、アフリカの魅力に気づいてしまったことで自分自身が大きく変わっていく事を感じます。

そのきっかけは2010年から2012年まで国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊に参加して、アフリカ東南部の内陸国マラウイ共和国で2年間暮らしたことです。知らない世界を見てみたいタチの私にとって、海外経験を積めて社会貢献もできる素晴らしい機会でした。そして、彼らとの交流は日本に慣れきった私の目を開かせてくれ、恵まれた環境のなかで忘れていたハングリーさを思い出させてくれました。

 

そして、世界もアフリカに熱い視線を送っています。国連の予測では、現在約10億人の人口は2050年には20億人、2100年には30億人に達しているといいます。そのときには世界の3人に1人がアフリカ人ということです。そして、私が暮らしていたマラウイは現在人口1500万人ですが、2100年には1億3000万人。もともとアフリカのなかでは人口密度の高い国ですが、この四国と九州を合わせた程度の国土に、現在の日本以上の人口が生きていくことになる、というのです。実際、本当にたくさんの子どもに囲まれ、元気をもらいながら2年間を過ごしてきました。この子たちが大人になるころには、アフリカはきっと世界一元気な大陸になっている、そう思いながら日本に戻ってきました。

 

地球最後のフロンティアと呼ばれるアフリカ大陸

 

アフリカの経済成長はすでに著しいものがあります。マラウイが属する南部アフリカ開発共同体(SADC)の成長率は、15カ国全体で年率5%前後あります。なかでもモザンビークやザンビアは9%超の伸びです。2億6000万人の人口を擁し、GDP5000億ドルの規模の経済共同体です。現時点においてGDPでは日本の10分の1に過ぎません。しかし、すでに5%成長を続けており、さらに若く巨大な人口に支えられてこれから人口ボーナス期を迎えることを考えれば、「地球最後のフロンティア」としてゴールドラッシュが約束されているようなものです。

 

アフリカの他の地域も見てみましょう。SADCのほかに、5か国を擁する東部アフリカ共同体(EAC)、19か国を擁する東南部アフリカ市場共同体(COMESA)が構成されており、メンバーは一部重複しています。これらがFTAで結ばれれば26か国、6億人、1兆ドルの巨大経済圏が見えてきます。さらに、西アフリカには15か国が参加する西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)があります。人口2億8000万人、GDP3000億ドル規模の経済圏です。もちろん、54か国が割拠するアフリカがまとまっていくのは簡単なことではありませんし、発展する都市部と遅れをとる農村という歪みをかかえながらでもありますが、これを乗り越えて明るい未来を築かなければなりません。

 

ICT立国ルワンダではバスでもWifiが使える

事実、都市部の発展ぶりには驚かされます。南アフリカのプレトリア・ヨハネスブルグ、モザンビークのマプト、タンザニアのダルエスサラーム、ザンビアのルサカなど訪れましたが、いままでのステレオタイプなアフリカのイメージは覆されました。もはや先進国と遜色ないような都市基盤が整備されつつあります。つい先日にはルワンダの首都キガリにも行ってきましたが、20年前1994年に起きたジェノサイドを乗り越え(みなさん「ホテルルワンダ」ってご覧になったことありますか)、いまこの国はICT立国を目指し基盤整備が進んでいます。私が乗ったバスでは、なんとWifiが使えました。


南アフリカの首都プレトリアの美しい町並み


中国人はアフリカでも存在感を発揮している


もちろん、ICT整備を進めているのはルワンダだけではありません。先日、ケニア大使館とミレニアム・プロミス・ジャパンとの会食(https://www.kenyarep-jp.com/news/13/131106_01_e.html)の際、駐日ケニア大使オグトゥ閣下は、ケニアでもより積極的に整備を進めているとお話しでした。

2013年11月には、IBMがアフリカで最初の研究所をケニア・ナイロビに開設しています。


しかし、世界が注目するこのアフリカ大陸において、日本車の存在感は大きいのに日本人の存在感はまだまだ不足しています。ランドクルーザーが活躍するこの地で、私自身は残念ながら本当によく中国人や韓国人と間違われました。もちろん、外見上変わりがなければ混同されて当然なのですが、それでも第一声「日本人か?」と聞かれないのは、アフリカで活動する日本人の絶対数が不足しているからなのだと言わざるを得ません。私は、アフリカの魅力に気づいた日本人のひとりとして、アフリカの魅力をたくさんの日本のかたにわかっていただきたいと思っています。がんばろう、ニッポン!


救急車もランドクルーザー

 

伊藤正芳

NPO法人ミレニアム・プロミス・ジャパン
伊藤正芳

アフリカの貧困削減を支援するNPO法人ミレニアム・プロミス・ジャパン(http://millenniumpromise.jp/)所属。日系食品メーカーの海外事業部在籍時に青年海外協力隊に現職参加し、2010年~2012年の2年間、アフリカ東南部内陸国のマラウイ共和国に赴任。病院事務局に入りアドミニストレーターとしてマネジメント改善に取り組む。マラウイのほかに、南アフリカ、モザンビーク、タンザニア、ザンビア、ケニア、ウガンダ、ルワンダといった南部アフリカ、東部アフリカ諸国へ渡航し、現地の状況を肌で感じることも大切にしている。2014年3月までは、西アフリカのセネガル、ガーナに滞在する。
グロービス経営大学院大学修了、早稲田大学政治経済学部政治学科卒。日本元気塾1期生。