サラリーマンからアフリカ支援へ 第3回 西アフリカの産業経済の可能性

伊藤正芳
 


セネガルの農業・アグリビジネス開発


前回はセネガルの食についてお伝えしました。代表的なメニューである「チェブ・ジェン」は調理したご飯に魚や野菜を盛り付けたものです。

また、アフリカに広がる日本食「SUSHI」は、セネガルでも味わうことができます。さて「チェブ・ジェン」と「SUSHI」の共通点は・・・いずれも魚とお米の組み合わせですね。

この魚と米、じつは自給率という点では対照的な組み合わせです。魚は輸出するほどですが、主食のお米は8割がタイ、中国などからの輸入なのだそうです。

 

増加する人口を支えるだけの食料を確保するということは、アフリカが抱える大きな課題です。主食のコメの自給率が2割という状況は、セネガルにとっても無視できないところのはずです。しかし、その点セネガルの場合、灌漑設備などのインフラを整備すれば農地としての開発可能性は大きく、実際に大規模な農地開発が進んでいます。

 

国土の北部、モーリタニアとの国境沿いを流れるセネガル川の流域で、大規模な農地開発を行っています。パワーショベルで水路をつくっています。これで川から水をひき、ポンプで水を汲み上げ、米づくりができるようになります。


 

【大規模な農地開発】


ここから少し離れた場所では外国資本の巨大な温室を見ることができました。野菜を生産しているのだそうです。1年中十分な日照が得られるこの国だからこそ、このような大きな投資も可能になるのでしょう。


【野菜栽培のための巨大温室】


世界銀行グループは総額770億CFA(セーファー)フラン(約150億円)をセネガルの農業、教育、健康、エネルギー分野に融資すると伝えられています。そのうち420億CFAフラン(約80億円)はアグリビジネスに振り向けられます。

「西アフリカの優等生」コートジボワール


セネガルの食の代表として「チェブ・ジェン」をご紹介しましたが、朝はみんなフランスパンにコーヒーといった食事をとります。コーヒーは現地のトゥーバ・コーヒーを出す店もありますが、インスタントのネスカフェが出てくることもかなり多いです。そのインスタントコーヒー、スティックタイプで1杯分ずつ分包されていて、小さなキオスクから移動式の売店まで至る所で売られています。

私はすでにセネガルを発ち、アビジャン(コートジボワール)経由でガーナに入りましたが、ここガーナでも全く同じスティックタイプのネスカフェに出会いました。ネスレはコートジボワールでこのインスタントコーヒーを製造し、西アフリカ域内に輸出しているのです。生産拠点としての優等生でもあるということでしょう。

安倍首相はこの1月のアフリカ諸国歴訪でモザンビーク、エチオピアに先立ち、このコートジボワールを訪れました。これからのコートジボワール、そして西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の発展にも注目していきたいところです。

西アフリカ経済統合のさらなる深化に期待

セネガルもコートジボワールも同じCFAフランという通貨をつかっています。セネガルでつかっていたお金がそのままコートジボワールのお店でも通用したり、セネガルのATMとコートジボワールのATMとで全く同じ紙幣が出てきたりするのは、当り前といえば当り前なのですが、私にとってはちょっとした驚きでした。


【ダカールにある西アフリカ諸国中央銀行本部】


また、前述したように域内貿易も進んでいます。ナイジェリアのジョナサン大統領は先日のダボス会議において、アフリカ大陸内での貿易をより活性化しようと呼びかけました。そして、エチオピア・アディスアベバのAU(アフリカ連合)本部では、「アジェンダ2063」の実現に向けてアフリカ諸国が協調する必要があると認識されています。アフリカ大陸フリートレードエリア(BIAT/CFTA)のような枠組みが、この若い大陸に潤いをもたらすことを期待しています。


 
 

伊藤正芳

NPO法人ミレニアム・プロミス・ジャパン
伊藤正芳

アフリカの貧困削減を支援するNPO法人ミレニアム・プロミス・ジャパン(http://millenniumpromise.jp/)所属。日系食品メーカーの海外事業部在籍時に青年海外協力隊に現職参加し、2010年~2012年の2年間、アフリカ東南部内陸国のマラウイ共和国に赴任。病院事務局に入りアドミニストレーターとしてマネジメント改善に取り組む。マラウイのほかに、南アフリカ、モザンビーク、タンザニア、ザンビア、ケニア、ウガンダ、ルワンダといった南部アフリカ、東部アフリカ諸国へ渡航し、現地の状況を肌で感じることも大切にしている。2014年3月までは、西アフリカのセネガル、ガーナに滞在する。
グロービス経営大学院大学修了、早稲田大学政治経済学部政治学科卒。日本元気塾1期生。

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