2014年4月11日
前回はアフリカ大陸域内の経済的な結びつきが深化しつつあることに触れました。ガーナでもその一例に再会することができ、私個人としてはちょっとした感動すら覚えたことがあります。それは、「SHOPRITE」(ショップライト)というスーパーマーケットです。私はかつて2年間、南部アフリカにある最貧国のひとつマラウイに滞在していたのですが、そこにもあった「SHOPRITE」に、ガーナでも出会うことができました。
【ガーナの繁華街にあるSHOPRITE】
「SHOPRITE」は、アフリカ大陸16か国に500店舗近くを展開
中に入ってみると、かつてマラウイで見たものとほぼ同様の売場づくりに品揃え。統一された品揃えによって、共通の商品が国境を越えてアフリカ大陸内に流通する仕組みが出来上がっているわけです。この南アフリカ資本であるSHOPRITE Holdingsのウェブサイトを見ると、さまざまな小売店ブランドを傘下に収めていることがわかりますが、「SHOPRITE」だけでも、アフリカ大陸16か国に500店舗近くを展開しています。
(https://www.shopriteholdings.co.za/OurGroup/Pages/Geographical-Spread.aspx)
また、「Melcom」(メルコム)というガーナの大手小売企業もあります。ここの大型店舗でこの2月から3月にかけて、JETROと多数の日本企業により日本製品フェアが開催されていました。
私がアフリカで人々の口から何度も聞いて再認識しているのは、「日本」イコール「品質」という等式が浸透していることです。品質への信頼の高い日本製品を、豊かになっていくアフリカの人々に紹介していくことは、これからのニーズに合致しているのではないでしょうか。
アフリカは過酷な環境か?
「アフリカ」イコール「過酷な環境」というイメージがあると、アフリカでビジネスをするどころか、そこに行くことさえ躊躇されるかもしれません。しかし、首都であればたいてい十分な都市基盤が整っていて、それほど不自由なく生活できるのです。ガーナの首都・アクラもその例にもれず、決して過酷な環境ではありません。そして、都市開発はさらに進められています。
【ガーナの首都・アクラの中心部】
【空港付近のショッピング・ビジネス複合ビル】
(オフィスにはネスレが入っている)
もちろん、ビジネスにリスクはつきものです。でも、私自身はアフリカで人々と接してきた経験から、不安定な環境でも生きていこうとする彼らの逞しさやしなやかさも学んできた気がしています。ここでひとつ、その逞しくしなやかなビジネスの一例をご紹介します。飛行機の機体を利用して開業したレストランです。これはガーナ航空が破たんして残されたDC10を利用して開業したものです。この逞しさ、しなやかさ。見習いたいものです。
【La Tante DC10 Restaurant】
NPO法人ミレニアム・プロミス・ジャパン
伊藤正芳
アフリカの貧困削減を支援するNPO法人ミレニアム・プロミス・ジャパン(http://millenniumpromise.jp/)所属。日系食品メーカーの海外事業部在籍時に青年海外協力隊に現職参加し、2010年~2012年の2年間、アフリカ東南部内陸国のマラウイ共和国に赴任。病院事務局に入りアドミニストレーターとしてマネジメント改善に取り組む。マラウイのほかに、南アフリカ、モザンビーク、タンザニア、ザンビア、ケニア、ウガンダ、ルワンダといった南部アフリカ、東部アフリカ諸国へ渡航し、現地の状況を肌で感じることも大切にしている。2014年3月までは、西アフリカのセネガル、ガーナに滞在する。
グロービス経営大学院大学修了、早稲田大学政治経済学部政治学科卒。日本元気塾1期生。