こどもが変われば世界が変わる〜教育ビジネスの可能性 第2回 バングラディッシュで私がみたもの

村上綾野
 

皆様、こんにちは。

今回のテーマは、私が途上国における教育問題に興味を持ったきっかけについて。それはバングラディッシュで出会ったこども達と、そこで見た彼らの日常でした。


■バングラディッシュ首都ダッカでみたもの


バングラデシュの首都、ダッカ。熱気と喧騒に溢れる街で私が見たのは圧倒的な貧富の差でした。無理に曲げられたような傷だらけの細い手足で、びっこをひきながら裸足で歩く子ども。その横を屋根付きの自転車タクシー「リキシャ」に乗って、美しい身なりで学校に通う子ども。永久に交わることのない彼らの人生そのものが、目に見える形で示されているようでした。

街の中も同じです。壁の一部が倒壊しているアパートメント、剥いだ牛の皮を血を滴らせながら運ぶ台車、物乞いをする人々。そんな風景を見ながら私達が訪れたのはグラミン銀行のオフィスでした。清潔感に溢れ、パソコンなどの機器も揃い、美しく上品な身なりで英語を話す人々。先程までの風景とのギャップに衝撃を感じたのを覚えています。


ダッカの路地裏▼


ダッカ市街にあるグラミン銀行のオフィス▼

    

「一億総中流」と言われた日本にいては想像できないこのギャップが、物乞いをする子どもの尖った目と共に深く心に残っています。


▼ダッカの物乞いの子ども




 ■バスンディアという農村でみたもの



そんなダッカから夜行バスで約8時間、バスンディアという村を訪れました。そこはダッカとは全く異なり、全てが貧しい農村でした。でこぼこの道、木やつるで作られた家々、一日に何度も停まり復旧しない電気、泥水の流れる川。寒い季節にもかかわらず、薄着だったり裸足だったりする子もいます。


▼バスンディアの様子


この農村で訪れた学校は、子どもの数に対して教員数も教室数も足りず、午前と午後で学年を分けて授業をする二部制をとっていました。私たちが訪れた当日は教科書が子ども達に支給される日。教室で教科書を受け取った子どもたちは皆、目を輝かせて教科書を胸に抱きしめて帰って行っていました。しかし、その教科書でさえ、中には古びていたり書き込みがあるようなものもありました。


▼バスンディアの学校のこどもたち

 


しかし、そんな貧しさの中でも、子どもたちの新しいものに対する好奇心、トライしてみようとするチャレンジ精神は確かに息づいていました。興味津々で日本から訪れた私たちに話しかけてくる様子には、これまで感じたことのないパワーを感じました。


■バングラデシュの教育事情


バングラデシュにおける義務教育は中等教育まで。もちろん学力と資金があれば大学に行くことも留学することもできますが、大半の子ども達はそんな恵まれた環境にはありません。小学校への入学率は9割と言われていますが、卒業するのはその約半数。毎年ある進級試験に合格できず、年齢を重ねても低学年クラスにとどまる子は、学ぶ意欲を失い学校から去っていきます。また、学校の授業自体も、前のほうに座った一部の生徒と先生のやりとりが中心になり、クラス全体での授業構築といったことは全くなされていないのが現状です。授業自体のレベルも非常に低く、子どもたちに十分な理解を促す内容にはなっていません。

また、教員の腐敗も大きな問題です。試験範囲の一部を学校ではあえて教えず、「Private Teacher」という形で、お金を払って個別授業を受ける子どもにのみ教えるという裏教育制度が暗黙の了解でまかり通っているのです。

バングラデシュをはじめ、アジアの途上国で同じような問題が起きています。この問題にどうアプローチをしていくべきなのかは非常に難しい問題です。本質的な問題を抱えるBOP層には、お金を払って教育をサービスとして受ける余裕はありません。何かイノベーティブなビジネスモデルが必要とされている。今、心からそう思っています。


 
 

村上綾野

任意団体こどものみらい代表
村上綾野

1978年京都府生まれ。
神戸大学発達科学部で発達心理学を学び、2000年卒業。
システムエンジニア、新卒採用コンサルなどを経て、現在は教育系出版社に勤務。
育成と業務設計を専門とし、国内外の子供のために活動中。
https://www.facebook.com/Page.Kodomonomirai

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