ケアンズ発!働きながら世界一周 第3回 開店初日、初めての予約

矢澤善夫
 

ケアンズ店開店


会社を設立し開店したのは12月上旬。1年の中でも、もっとも暇な時期でした。学生はテストに向けて外出を控え、社会人の多くは年末ということで多忙なためです。そんな閑散期にオープンしたため、お客様はなかなか来ません。設立当初から資本金=運転資金の400万円がなくなってしまったら会社をたたもうと決意していましたがこのままではあっという間に軍資金は底を尽いてしまうとびくびくしていました。
開店初日、起業して初めての予約は今でも鮮明に覚えています。学生風の男の子が一人、ラフティングを私から購入してくれました。今までは誰かが作ってくれたレールの上で販売をしていましたが、今日からは自分の看板のみで売り上げを上げなければならない。お客様からお金をもらった時は、実は手が震えていたのではないかと思うほど緊張したものです。私を信用して私にお金を払ってもらえたこと、今までは何も感じずに普段していた販売が、とても新鮮であり、販売出来たことに本当に感動しました。
開店から1週間、朝9時から夜10時まで一人でツアーデスクに立っていましたが、あまりの閑散とした空気に、隣のブースで働いている英語のツアーデスクのスタッフも「YOSHI、大丈夫!年末になればお客さんは来るよ!」と励ましてくれました。そんなお客様がぜんぜん来ない日が、半月続きました。
そんな暇な時期に、ちょっと関心があったインターネットホームページを自分なりに独学で作ろうと、当初よく使われていた「ホームページビルダー」というソフトを使ってウェブサイトを構築しました。今思えば、あの暇なスタートがあったからこそ、今のインターネットでの販売モデルが出来上がったのかもしれません。
そんな励ましをいろいろな方から受けながら、クリスマスになってからの年末ラッシュには、本当にお客様が来てくれて「忙しい」を実感できました。また2~3月は学生旅行、卒業旅行のシーズンで今とは違ってたくさんの学生が海外旅行に行き、ケアンズも例外ではなく卒業旅行で活気があり、売り上げも目標値以上を達成する成果でした。
当時はケアンズ便が1日4便程、日本から直行便が飛んでいたので好景気も便乗していたようです。起業から3ヶ月後には単月黒字になりました。
数字の不安はなくなってきましたが、今度は体の心配。ほとんど毎日12時間就労で体がもつわけがない。スタッフを募集してなるべく裏方に回るようにして、やっと会社らしい体制が組めてきた頃には、起業から半年が経っていました。


オーストラリア全土の販売


好景気に支えられ、ケアンズでの売り上げは順調で毎月黒字になったのを良いことに、オーストラリア全土の販売を視野に入れ動き始めました。旅行業界のコンベンションなどに積極的に参加し、またEメールで取引先にアプローチしてケアンズ以外のツアーの仕入れを伸ばしていきました。各都市にツアーデスクを設置するマンパワーもお金もなかったので、まずは各都市のインターネットの観光情報サイトを作成しました。販売店部署に加えインターネット部署を新設して、小さいながらも今のビジネススタイルであるインターネット販売が始動しました。


ゴールドコースト店出店


ケアンズ程の勢いはないですが、特にゴールドコーストは売り上げが上がってきたので出店を念頭に力を入れました。そんなときちょうど知人の知人から良い物件のオファーがあり、その物件を見にゴールドコーストへ。ゴールドコーストの目抜き通りに近い通りの2階がその物件。2階なので階段で登らないといけませんが街の中心に位置し、何よりも家賃が安く1か月ごとの自動更新での契約だったので即決しました。スタッフには以前の会社で働いていた部下がちょうどゴールドコーストに住んでいたので彼女を誘い、またケアンズで働いていたスタッフがゴールドコーストに引っ越しすることになり、2名体制にしてゴールドコースト店をオープンしました。ケアンズとは違い、単月での損益分岐点に到達するのに1年程かかりました。ただしインターネット部署をゴールドコーストに異動することにより、ゴールドコースト店での業務は忙しくなりました。


現地発ツアー販売店から総合旅行会社へ


通常、旅行会社というと航空券とホテルのパッケージツアーを販売しているような印象を受けるかと思いますが、私達が販売していたのは現地発オプショナルツアーのみでした。この「現地発オプショナルツアー」のみに特化していた旅行会社は当時も少なく、今でも日本で専門に取り扱っているのは10社以下と少ないです。オーストラリアの主要観光地のほとんどの仕入れと販売が完了したために、次はホテルとレンタカーの販売を始めました。当時は海外のオンラインでの日本語サイトは少なかったので売り上げは徐々に右肩上がりになりました。そして最後には航空券販売もケアンズ店、ゴールドコースト店で始めてオーストラリアでの総合旅行会社になりました。

 
 

矢澤善夫

ホットホリデー株式会社代表取締役社長
矢澤善夫

神奈川県横須賀市生まれ、城西大学機材学部卒業後、日本の旅行会社に就職し、1994年に渡豪。シドニー、パースを経て、現在はケアンズ在住。
2000年に現地オプショナルツアーを扱う旅行会社をオーストラリアで起業。
2010年より世界各国のオプショナルツアーの販売を開始し、世界の見どころを自分の足を運んで飛び回り中。現在66か国訪問。
経営するオプショナルツアーサイトは現在46か国で展開中で、取扱ツアー件数約4,000件。オプショナルツアー以外にも、ホテル、LCC(格安航空券)の手配も行い、2013年8月に、ドバイ支店開設し、現地では自社日本語ツアーも行っている。
パリ、ハワイなど主要な都市だけでなくアフリカや南米など、ニッチなディスティネーションにも積極的に行き、ツアー情報を収集し、取扱い国、取扱いツアーを、どんどん増やして行きたいと思っている。

キーワードからコラムを検索する