海外ビジネスに関連するコラム

ケアンズ発!働きながら世界一周 第4回

会社を売却し、オプショナルツアーへ特化

ホットホリデー株式会社 代表取締役社長 矢澤善夫

 

留学センターをオープン

2000年に創業以来、業績は好調で毎年前年比10%以上アップしました。毎月の収支で昨年対比割れ、及び単月での赤字になったことはなく毎月右肩上がりでした。

私は、業績が下がり昨年対比を割ってしまうことなんてありえないと起業して3年ぐらいは本当にそう思っていた浅はかな頃でした。

業績が好調なのは私の力量ではなく、単に時代と環境がよかっただけなのだと後で本当に身に染みたことです。

日本からの海外渡航者が多い良い時代だったのでケアンズでは、最盛期は福岡、大阪、名古屋、成田、札幌から直行便がありました。そんな好景気の時代という背景もあり、某大手のフランチャイズで留学センターも始めました。さすがに立ち上げて6か月は赤字でしたが、ワーキングホリデーの数も多く短期留学を中心に留学者数は徐々に伸びてきてやっと黒字体質になりました。

ビジネスはゴールドコースト、ケアンズでの旅行業と留学斡旋業で順風満帆のようでした。ケアンズの観光業が好景気に乗っかることが出来て、今考えると会社の努力やアイデア、スキルよりも、その環境がラッキーだったのでしょう。

会社売却

そんな時に「お宅の会社に興味がある」 という連絡が日本のコンサルタント会社からありました。「我が社と提携でもしたいのかな?」とまずは話を聞こうと思いました。

コンサルタント会社は誰でも知っている名前大手証券系列で、担当の方の肩書は「副社長」でした。これは、ちょっとした提携ではないことは話を進めていくうちにわかってきました。要するに我が社を100%子会社化したいようでした。

私は「上場」したいという密かな夢がありましたが、その「興味がある」と言っている会社は上場を目標にしているとのこと。とても魅力的な話であったのです。「M&Aか、それも悪くないな」と思いました。自分たちの会社の株を売って儲けたいとは思わないけど、「自分の会社で上場ではなくとも、自分が従事する会社で上場出来るのであればいいや!」と思うようになりました。話はとんとん拍子に進み、契約することになりました。

会社を設立したのも初めてで、設立からやっと4年。会社を売却することなんて、もちろん最初にこの話をいただいた際は、会社の株を何パーセントか売ることはあっても100%の株を売ることは全く考えてもいませんでした。

初めてのことで「設立」するよりも、「売却」するほうがよっぽど複雑で手続きが大変だったと思います。

株式交換したかったですが結果は100%の株を売却することになりました。たった4年とはいえ、自分が育てた会社の看板がなくなるというのは今思うとちょっぴり寂しいですね。また株の売却益は収入とみなされるので、ただでさえ税金の高いオーストラリアで、一時的に高額所得者になってしまい、すごい税金を支払したことを覚えている。その比率は49%です。

会社売却後は、更にオプショナルツアー販売に特化するために留学センターは他社に切り売りし、ホテル・航空券販売の積極販売は中止して販売する商品をオプショナルツアーに絞りました。

 

矢澤善夫

ホットホリデー株式会社代表取締役社長
矢澤善夫

神奈川県横須賀市生まれ、城西大学機材学部卒業後、日本の旅行会社に就職し、1994年に渡豪。シドニー、パースを経て、現在はケアンズ在住。
2000年に現地オプショナルツアーを扱う旅行会社をオーストラリアで起業。
2010年より世界各国のオプショナルツアーの販売を開始し、世界の見どころを自分の足を運んで飛び回り中。現在66か国訪問。
経営するオプショナルツアーサイトは現在46か国で展開中で、取扱ツアー件数約4,000件。オプショナルツアー以外にも、ホテル、LCC(格安航空券)の手配も行い、2013年8月に、ドバイ支店開設し、現地では自社日本語ツアーも行っている。
パリ、ハワイなど主要な都市だけでなくアフリカや南米など、ニッチなディスティネーションにも積極的に行き、ツアー情報を収集し、取扱い国、取扱いツアーを、どんどん増やして行きたいと思っている。