バラガンだらけなイスラエル 第3回 日本でも大人気のMax Brennerはイスラエル発

水谷徹哉
 


日本ではMax Brennerが盛況の模様ですね。表参道ヒルズに第一号点が、またスカイツリー・ソラマチに第二号店が出展され、いずれも待ち時間は相当だと聞いています。

 

このイスラエル発のチョコレート・バーは現在アメリカ、オーストラリア、フィリピン、シンガポールなどにも出店され人気を博しており、一躍グローバルなチョコレート・ブランドになりつつあります。


 

イスラエルのMax Brennerの様子

 

日本の出店場所を考えると、ちょっとした高級感が漂いますが、本家のイスラエルではどうなのでしょう?

当地ではテル・アビブを含むイスラエル中部地域を中心に5箇所の店舗が展開していますが、東京店と比べると、いずれもより大衆的なイメージが強いと思います。チョコレートをメニューの主軸コンセプトとしたカフェの内部には、原材料のカカオが無造作に展示されていたり、液化のチョコレートが流れるパイプラインがカフェ内部に張り巡らされていたりします。

それこそ子供達は児童小説「チョコレート工場の秘密」(原題;Charlie and the Chocolate Factory)のような世界を疑似体験できてしまうのです。ということで、来客者の多くは家族連れという印象が強いように思います。メニューの質の高さもさることながら、チョコレート・カフェという特殊な空間内での経験をサービスの一部とするのは、イスラエルならではの斬新な発想と言えるのではないでしょうか。

 

日本で有名なイスラエル・ブランドはMax Brennerだけではない


さて、Max Brennerなどに代表されるいわゆる「イスラエル・ブランド」。

既に日本で大きな成功を収めているのは、実はMax Brennerだけではないことをご存知でしたでしょうか?すぐさま思いつくイスラエルのブランド名を、下記に幾つか紹介してみましょう。

まずは、SABONです。石鹸やバス・ソープ、香水、ローションや、その他関連する雑貨等も取り扱う、イスラエルでは最大手のコスメティック・ブランドです。日本では既に20店舗以上を展開しており、イスラエルから日本に進出しているブランドとしては最も勢いのあるブランドと言えるでしょう。


 


次はMichal Negrin (ミハエル・ネグリン)。ビンテージ色をデザインに色濃く出した、ジュエリー・アパレル・インテリアのメーカーです。日本国内では東京、横浜、名古屋、大阪等に10店舗以上が展開している模様。日本ではこれまでに雑誌等でも幾度と無く紹介され、既に定着したファン層を獲得したブランドでもあります。



あと、幼児のおもちゃメーカーでは世界的な大手のTiny Love。お子様をお持ちのご家庭では、まさかこれがイスラエル?と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんね。知る人ぞ知るれっきとしたイスラエル・ブランドです。


 


最後に、これはブランドとは言い難いのかもしれませんが、製薬会社のTEVA。これも上記のTiny Love同様、世界市場にて相当のシェアを有する会社であり、主にジネリック製薬のメーカーとしては世界的に知られたブランドでもあります。日本に進出したのはここ数年前のことで、日本オペレーションのベースとして名古屋に本社が置かれています。

上記は思いついたものを羅列したまでに過ぎません。イスラエルが強いハイテクやセキュリティ、またライフサイエンス等分野においては、現実に既に多くの組織が日本市場にて活躍しています。最近では、皆さんの消費生活における身近な場所においても、意外とイスラエルを見出すことが少なくないのかもしれません。

これまでの話はイスラエルから日本への進出事例でした。では逆に、イスラエルに進出している日本ブランド、また、イスラエルにおける消費活動にて見出すことのできる日本についても触れてみたいと思います。


日本製品はイスラエル市場の主役ではない・・・


まず、最も日常的に目にするものの中には、日本車や日本製の電化製品といったものが代表的なものとして挙げられます。公道においては日本を代表するほぼ全てのオートメーカーの車を確認することができます。また、電化製品店に行けば、東芝やSonyと言った、これも同じく日本を代表するメーカーの商品を多く見かけることでしょう。

ただ、当地が日本国内の市場と最も異なる点は、これら日本ブランドが市場の主役では決してないということです。

地理的にはイスラエルはヨーロッパに近いため、公道にはやはりヨーロッパ製の自動車もたくさん見かけることができます。ただ、昨今当地の公道で相当の存在感を持っているのは、HyundaiやKIAに代表される韓国製自動車と言わざるをえないでしょう。

電化製品ではこれがより顕著な状況となっています。LGやSumsungなどの代表的な韓国製品のみならず、中国からの聞いたこともないようなブランド名の製品が陳列台に数多く見受けられます。日本ブランドは全く無い訳ではないにせよ、どちらかというと隅っこのほうに追いやられているのが現状かもしれません。

これを統計的に見てみるとより分かりやすいかもしれません。例えば、2012年度のイスラエルの対日輸入規模は、年間約17億ドルで(イスラエル中央統計局)、これは前年比で見ると28.2%減となる数値(同)です。一方、対中国では、同年の輸入額は約72億ドル(同)で、2006年時点の約32億ドル(同)からは、減少どころか2倍以上に増大していることになります。

輸出においてもこれは顕著で、2012年度の対中国輸出額は約27億ドル、対日本では8億ドルということで、ここでも大きく中国に差を付けられているのが分かります。当地に住民として暮らす日本人の心境としてはちょっと残念な結果でもあります。


サムライ・インキュベート参上!@Tel Aviv



そんな中、昨年末のことになりますが、日本・イスラエルの通商関係において極めて前向きな出来事がありました。今では日本のみならず、アジアを代表するVCと言ってもよい、「サムライ・インキュベート」。彼らがイスラエルへの視察に訪れ、地元のスタート・アップ関係者を対象としたイベントを開催したのです。

昨年の12月10日、テル・アビブ市内のGoogle施設内にて開催されたこのイベントには、総勢100名近くの地元関係者が訪れ、日本からやってきた「サムライ軍団」のプレゼンテーションに熱心に耳を傾けていました。実はこのイベントは2012年にも当地にて1度実施されており、今回は「サムライ軍団」による2度目の来訪でもありました。

特に今回のイベントで強く印象に残ったのは、これまでの来訪が視察と交流のレベルに留まっていたのに対し、今回は当地のスタート・アップ企業や起業家、またVC関係者と共に実際に事業をおこしていくことに主眼が置かれていたことでした。また将来的にはテル・アビブに同社の支局を創設することすら検討されている模様で、我らが「サムライ軍団」による本格的なイスラエルへの進出が、まさに具体的な段階に入りつつことを実感させる内容でもありました。

最後に、今回のイベントの立役者の一人、当地在住の岡田一成氏による発言を紹介したいと思います。同氏は95年よりビジネスマンとして当地にベースを置かれており、本業の傍ら「Japan Innovation Center」イスラエル代表、また当地「イスラエル日本商工会議所(IJCC)」の日本理事も兼任され、日本向けのイノベーションを戦略的に集結させる活動に尽力されている方です。

曰く、「日本のイノベーションは依然として質が高く、世界的な認知度があるのは事実だと思います。ただ、イスラエルのイノベーションには日本には無いユニークさや斬新的なものが多く、双方のハイテク産業にはお互いが学ぶことのできる素地は十分にあります。このように双方が歩み寄り、相互補完できるシステムを作り上げることができれば、これはものすごいシナジーを生むでしょう。2014年は双方スタート・アップの当たり年にしていきたいですね!」

同氏は筆者の個人的な知人でもありますが、今回のイベントでは一番鼻息の荒い関係者のようにも見受けられました(笑)。今年はスタート・アップの当たり年。まさにそうなるよう当地関係者一丸で盛り上げて行きたいものです。



 
 

水谷徹哉

イスラエル在住
水谷徹哉

名古屋大学卒業(修士)。在イスラエル大使館専門調査員(05’)、JICAパレスチナ事務所企画調査員(12’)。計10年間日本国政府ODAによる対パレスチナ支援に従事する。主にガバナンス分野における国際機関経由、またJICA技術協力案件の実施管理を担う。2013年よりイスラエル国Galilee International Management Instituteに勤務。主に日本向けのコンテンツの開発等を担当。

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