海外ビジネスに関連するコラム

世界で通用するスピーチ力 第6回

【相手が主語のトークを心がける】

スピーチ・ジャパン フリーアナウンサー 早坂まき子

 

前回はスピーチやオフィシャルトークにおいての「黄金の3S」をご紹介しました。
皆さんが普段の生活でも意識し、3Sである「共感、知識、笑い」、いずれかを聴き手にもたらせることが出来るトークを心がけてください。3Sが全く無いオフィシャルトークやスピーチというのは、聴くに耐えられないものなのだと肝に銘じて「意識して」練習しましょう。何度もお伝えしますが実生活でノウハウを活用することがトークを磨く上で重要です。常々お伝えしているように結局、実践練習の積み重ねに勝るものはありません。

【相手が主語のトークを心がける】

さて、今回はその黄金の3Sに付け加えて更にステップアップしたテーマです。一対一、もしくは一対数人、の際のトーク時。特に雑談に有効活用できるものと捉えてください。
それは、【相手が主語のトークを心がける】ことです。
貴方が話す内容が、いくら「共感、知識、笑い」このいずれかが相手に感じ取ってもらえる内容であっても、自分が主語ばかりのトークでは会話のキャッチボールは成り立ちません。ビジネスでも、プライベートでも「主語を奪う人」になっていませんか?

Aさんが

「先日、映画を観たんです。とても面白くて終始笑っていました」
>と、雑談をスタートさせたとしましょう。その際に貴方なら、どのように会話を盛り上げようとしますか?

(1)「そうですか。私も週末に映画を観ました」

(2)「そうですか。何というタイトルの映画を観たのですか?」

もうお分かりですね。貴方が相手との会話を盛り上げたい、Aさんと友好関係を深めたい、と思うのならば⑵、を選択することをお勧めします。

なぜ、このような会話ノウハウの基本中の基本をお伝えするのかというとスピーチ講師として研修やセミナーを開催すると、⑴、を選択するような「主語を奪う人」がかなり多く存在し、更に言うと「悪気なく⑴、を選択している」この事実を感じるからです。

ビジネス上の雑談なんて、仕事にはなんら影響はないからどうでもいいのではないか・・・。

『言葉選びは、プレゼント選びと同じ』

そう思った方はご注意を。結果が伴うことが前提ではありますが、雑談でビジネスパートナーとの信頼関係を結ぶのは世界共通です。

雑談・フリートークが全くない人間関係というのは「あり得ないこと」であるのは簡単に想像できますよね。空気を読む、相手の想いを察知する。これは日本人に限った話ではないのです。

『言葉選びは、プレゼント選びと同じ』

これはスピーチジャパンでは常々、研修やセミナーでお伝えするモットーです。

【黄金の3S】も、今回の【相手が主語のトークを心がける】も、いかに相手を思いやれるか否かを重視しています。
貴方が誰かにプレゼントを贈る際には、相手は何をもらったら喜ぶのか?じっくり考えるはずでしょう。ポイントは、貴方があげたいプレゼントではありません。相手が喜ぶプレゼントです。

言葉選びも、プレゼント選びと同じです。相手がどのような言葉、どのような内容の会話を促したら喜ぶのか、考えて会話をしてみてください。

先の例題で、⑴、を選ぶ人は相手が喜ぶかどうかではなく、自分が言いたいことを言うだけです。
ステップアップしたトークを目指すならば、相手が喜ぶ会話を意識してみましょう。

その第一歩として【相手が主語のトークを心がける】。
ここから始めてみると、言葉選びとプレゼント選びが似ているものだと実感できるのではないでしょうか。

 

早坂まき子

スピーチ・ジャパンフリーアナウンサー
早坂まき子

フリーアナウンサー、スピーチ講師。2002年ミス清泉女子大学グランプリ。
元フジテレビ系列仙台放送アナウンサー。在局時は、スポーツ担当として東北楽天ゴールデンイーグルスを2005年の初年度から取材。『スーパーニュース』スポーツコーナーから、情報番組の食事リポート、イベント司会まで幅広いジャンルをこなす。
2011年の東日本大震災で震災報道も経験。
J:COM「週刊ボランティア情報・みんなのチカラ」(2011年8月~翌年3月まで放送)にて、ケーブルテレビアワード2012年審査員特別賞受賞。
現在、スピーチ講師として、企業研修や結婚相談所でのコミュニケーションセミナー、トーク時における立ち居振る舞いセミナーを実施。
清泉女子大学、非常勤講師。

株式会社スピーチジャパン所属 http://bizsp.net/
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