海外ビジネスに関連するコラム

世界で通用するスピーチ力 第9回

「何を引き立たせるか?」

スピーチ・ジャパン フリーアナウンサー 早坂まき子

 

ビジネス上のパブリックスピーチでは、滑舌の良さや声の大小、高低など【技術】を磨くよりもまずは伝えたい思い・情熱や、内容構成の方が重要だと本コラムでお伝えしてきました。

ボイストレーニングなどに通い小手先の「技術だけ」を身につけて、内容が共伴わない人のスピーチを想像していただければ、私の伝えたいことが理解できることでしょう。

それでも、スピーチに関するノウハウを提供する会話術やプレゼンテーションに関する本が多く出版されています。書店のビジネス書コーナーに行けばその多さが実感できるはずです。

これに関してはその存在を否定するのではなく「スピーチ技術が無いよりは知っていた方がより良い」と考えています。

もちろん、「伝えたい内容が伴っていれば」という条件のもとではありますが。

今回のコラムでは、そのスピーチ技術の一つをご紹介しましょう。

それが【プロミネンス、卓立法】です。

これは、テレビ局のアナウンサーでしたら新人研修の際に必ずといって良いほど指導される技法です。

「以下の例文を声に出して聞き手に伝えてください」、と言われたらあなたはどのような表現をしますか?

【私はこの本が好きです】

はい、簡単な文章ですね。

では皆さんはどのような意味を含めて例文を読みましたか?

勘の良い方はもうお気付きと思います。

この例文で、何を強調したいのかによって表現方法が変わります。

・私は、を強調する表現方法。
・この本が、を強調する表現方法。
・好きです、を強調する表現方法。

大きくわけて三つの表現方法があります。

上記の強調したい部分が変化すると、声での表現方法も変化すると思います。

皆さんも上記例文を、何を強調するのかを意識して考えながら、声に出して練習してください。

そして

・声の大小
・声の高低
・緩急
・間

これらの音声表現方法を駆使して、強調したい部分に変化つけて表現するのがプロの喋り手です。

アナウンサーやナレーション、声優、俳優など喋りを仕事にしているプロフェッショナルは、この【プロミネンス】を駆使して様々な文章を音声表現しているのです。

このプロミネンスという技術、実は日本語よりも英語を母国語とする方は自然と身につけています。

「I like, this book.」を、プロミネンスなしに声に出すと感情が伝わりにくいのが分かりますか?

英語でスピーチ・会話する際には声の強弱が日本語の時よりも重要になります。英語を母国語として話す方は、プロミネンスを常に駆使した環境で会話をし生活をするわけですから、意識せずともプロミネンスが身につけているというわけです。

もしあなたが、ワンステップ上のパブリックスピーチを目指すのであれば、内容・構成と共にプロミネンスを意識し【何を強調して伝えたいのか?】、を音声で表現できるように練習してください。

 

早坂まき子

スピーチ・ジャパンフリーアナウンサー
早坂まき子

フリーアナウンサー、スピーチ講師。2002年ミス清泉女子大学グランプリ。
元フジテレビ系列仙台放送アナウンサー。在局時は、スポーツ担当として東北楽天ゴールデンイーグルスを2005年の初年度から取材。『スーパーニュース』スポーツコーナーから、情報番組の食事リポート、イベント司会まで幅広いジャンルをこなす。
2011年の東日本大震災で震災報道も経験。
J:COM「週刊ボランティア情報・みんなのチカラ」(2011年8月~翌年3月まで放送)にて、ケーブルテレビアワード2012年審査員特別賞受賞。
現在、スピーチ講師として、企業研修や結婚相談所でのコミュニケーションセミナー、トーク時における立ち居振る舞いセミナーを実施。
清泉女子大学、非常勤講師。

株式会社スピーチジャパン所属 http://bizsp.net/
無料動画セミナー公開中 http://bizsp.net/freeseminar/