海外ビジネスに関連するコラム

世界で通用するスピーチ力 第8回

時事ネタから言葉の力を知る

スピーチ・ジャパン フリーアナウンサー 早坂まき子

 

今回は時事ネタを引用して、「言葉の力」をお伝えします。

テニスの錦織圭選手、全米オープンでアジア人初の決勝進出という快挙を成し遂げました。
準々決勝あたりから各メディアで報道が増え、テニスに詳しくない方でも錦織選手の活躍を聞いたり見たりしたのではないでしょうか。



【錦織圭選手がここまで躍進した要因は?】
このクエスチョンの答えは様々ありますが、新たに錦織圭選手の指導を担当するようになったマイケル・チャンコーチの存在を報じる専門家が多かったですね。
練習量の多さも有名で、世界を舞台に転戦し続ける錦織圭選手もへばるほどの体力的、精神的にきつい内容とのことです。
そのマイケル・チャンコーチに教えを請うようになって錦織圭選手の変化がありました。
「力強い言葉を発するようになった」という点です。


有名な話ですが、錦織圭選手は、自身の部屋に尊敬するフェデラー選手の写真を飾るほど憧れであり大きな存在でした。
更にフェデラー選手に関して公式記者会見で問われると
「憧れの選手」
と錦織圭選手はインタビューで明言しています。。
この返答内容や錦織圭選手の意識に対して、チャンコーチが注意します。
「戦う相手に隙を見せるな。」
「勝てない相手はいない。」
「憧れをもってしまっては、一生彼(フェデラー選手)に勝てない」



そう、錦織圭選手の発する言葉の内容に対して注意したのです。
「憧れ」、と口にすれば相手と対等ではなく「上と下」の関係を自ら浮き彫りにさせてしまい対戦相手に自信を与え、自分は下位の選手だと意識付けしてしまっていることになります。
対戦する上で自分にとり損であるという注意であり、勝つための精神面指導も行ったわけです。



言葉が魂を持つ、というとスピリチュアルな思想と思われるかもしれませんがこれは、全世界でも共通する思想です。
謙虚に一歩引いた姿勢だけが美徳とされていたのはもう昔のこと。皆さんもグローバルに活躍したいのであれば、自分を有効的にPRすることは何ら引け目を感じることではありません。
マイケル・チャンコーチの考え方を参考にすると、まず「達成したい目標」にどのような心構えで取り組めば自分に有利かを考えます。
そして、目標、理想の自分に相応しい言葉を口にして会話やスピーチで発することが大切です。



その上でNGワードなのが「でも、だって、どうせ」。貴方がもしこの三つのDが口癖ならば気をつけてください。
意識して、否定的な言葉を発さないように気をつけて生活しましょう。

我々アナウンサーは、「卑屈、陰険、素直ではない姿勢」は放送上で求められていません。
テレビに出演するアナウンサーで、「でも、だって、どうせ」をよく発する人を見たことがありますか?おそらく見かけることは少ないと思います。
それは、「言葉の力」を知っているから発さないのです。


さらに、「きっと上手くいく」というマインドで仕事に取り組む時と、「きっと失敗する」というマインドで取り組む時と、どのような差がうまれるでしょうか…?
試しに言葉で発して比べてみてください。
言葉の持つ力があるということと、言葉は人間の精神に影響することが実感できると思います。

 

是非、ビジネスでも私生活でも、「言葉の力」をモチベーションや自己PRに上手く活用してみてください。

 

 

 

早坂まき子

スピーチ・ジャパンフリーアナウンサー
早坂まき子

フリーアナウンサー、スピーチ講師。2002年ミス清泉女子大学グランプリ。
元フジテレビ系列仙台放送アナウンサー。在局時は、スポーツ担当として東北楽天ゴールデンイーグルスを2005年の初年度から取材。『スーパーニュース』スポーツコーナーから、情報番組の食事リポート、イベント司会まで幅広いジャンルをこなす。
2011年の東日本大震災で震災報道も経験。
J:COM「週刊ボランティア情報・みんなのチカラ」(2011年8月~翌年3月まで放送)にて、ケーブルテレビアワード2012年審査員特別賞受賞。
現在、スピーチ講師として、企業研修や結婚相談所でのコミュニケーションセミナー、トーク時における立ち居振る舞いセミナーを実施。
清泉女子大学、非常勤講師。

株式会社スピーチジャパン所属 http://bizsp.net/
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