2017年11月20日
エチオピアコーヒー輸出業者協会 ギザット会長インタビュー
東アフリカの国エチオピアはコーヒー発祥の地として知られ、現在でも世界有数のコーヒー生産地です。日本も毎年20000トン以上を輸入しています。
そんなコーヒー大国エチオピアのコーヒー関係業者を取りまとめてるのがエチオピアコーヒー輸出業者協会です。インタビューに応じてくれた協会長のギザット ウィルクゥ氏はエチオピアで多種多様な業種で多くのポストを歴任してきた人物。エチオピアコーヒーの魅力や現状を伺いました。
とても気さくなギザット氏
エチオピアにとってコーヒーはどのような存在ですか?
とても重要です。外貨獲得のおよそ25%はコーヒーからで、GDPの5%を占めています。
国内で見てもエチオピア産コーヒーの最大消費者はエチオピア人で我々が生産したおよそ50%が国内で消費されます。これはアフリカでは最も多い消費量なんですね。また自国のコーヒーは世界の一般的な価格からすると高値なんです。そんな点からも国民がコーヒーを好きだと言えます。
私たちにとって単なる飲み物ではなく共に過ごすツールのひとつなんですね。私たちがコーヒーを淹れる時は一人では飲みません。隣人を呼び、誰かがコーヒーを淹れ、共に座ってシリアスな内容を議論したりします。
また、エチオピアは400万人の農民が生計を立てるために何らかの形でコーヒー栽培に携わっていて、これは世界最大です。伝統的にも商業的にもエチオピアにとってコーヒーはとても重要なんですね。
個人的にも魅力を感じていて、私はこれまで様々な品を扱ってきましたが、コーヒーのような商品は他にはありません。例えばワインには350種類ほどの香気成分が含まれていますがコーヒーには700以上あるんですね。コーヒーはとても魅力的です。
エチオピアコーヒーの魅力を教えてください
質が良い事はお伝えしなければいけません。
2014年にアメリカで11人の有識者が様々な国のコーヒーにポイントをつけるという会がありました。その結果25ポイントがエチオピアに入りました。それに次ぐ国は12ポイントでエチオピアの半分以下だったんです。このことから、エチオピアコーヒーは非常に高品質であることが分かっていただけると思います。
また生産者は小規模農家が中心で生産地によって味が違うんですね。それぞれ土地や気候に合わせおよそ10,000種類が生産されていて、ブラジルが3,000種類であることと比べればエチオピアのコーヒー豆のバラエティの多さはユニークですね。
“森林コーヒー”はご存知ですか?森林に自生する無農薬コーヒーで、農夫が収穫に森に入って行きます。この森林コーヒーがあるのはエチオピアだけなんです。南西地域では良いコーヒーが多数あり、ジャングルの木々は伐採されていません。コーヒーはそのような木々の影の下で育つためです。
これもエチオピアにしかないユニークな特徴です。
エチオピアコーヒー輸出業者協会について教えてください
先程コーヒーに関わる農民が世界最大とお伝えしましたが、コーヒー輸出業者も世界最大規模なんです。現在146社が協会に所属していて、輸出の85%を協会員が扱っている豆が占めています。私たちは農家から輸出業者までサポートしているんです。
協会には4つの大きな役割があります。
コーヒー産業発展の促進、国際市場の販売価格動向の情報提供、産業振興支援、会員サポート。
最も重要なのは国際的な販売促進です。個々の輸出業者で行うとコストがかかりすぎてしまうので協会のマーケティング部が海外へ赴き、販売促進を行っています。
取引価格が高くなるスペシャリティコーヒーの生産に力を入れていると聞きました
品質はもちろんですが栽培から輸送まで徹底された管理の下で行われた豆がスペシャリティコーヒーです。スペシャリティコーヒーを生産するのは簡単なことではありませんので私たちが指導を行っています。
例えば輸送方法。熟したコーヒー豆を運ぶ場合、他の食品や匂いを発するものと一緒に運んではいけません。もしコーヒー豆をバナナの木と一緒にすると、コーヒーにバナナの匂いがうつってしまうんですね。それは在庫管理の時も一緒です。輸送システムは細心の注意を払い完璧でなければいけません。
栽培はもちろんですが収穫後の手順が非常に重要となります。
昨年、エチオピア政府は品質のみならず全工程を改良させるために新たな組織を発足させました。新組織は農場から輸出業者にいたるまでコーヒー生産の全工程を管理しています。協会は政府の機関ではありません。しかしながら我々は輸出業者を代表しており常に農家を気にかけており、政府が立ちあげた新組織に問題がないか見極めています。
エチオピアにとっての日本市場は?
エチオピアコーヒーの約10%を買っている巨大な市場です。我々は2、3年以内に日本市場を現在の2倍の規模にしたいと考えていますが、日本のバイヤーはあまりにもマジメで厳しい。
2008年に日本でエチオピアコーヒーが輸入できない事態になりました。これはコーヒー豆から日本で禁止されている農薬が検出されたという理由でしたが事実は違います。農薬は豆を入れていた麻袋についていたものだったんです。エチオピアではコーヒー栽培に農薬は使いません。無農薬栽培なんです。この点は知っておいていただきたいです。
要職を歴任してきた経験や人脈を現職で活かす
モカコーヒーは知られていますが、そのほとんどがエチオピアで生産されている事はあまり知られていません。イルガチェフェなど世界的に知られた銘柄がありますが、こちらもあまり知られてはいません。
エチオピアは国策として良質なコーヒー生産に力を入れており今後が期待できる分野です。
しかし先に述べたように日本ではあまり知られておらず、協会をはじめとするエチオピアの情報発信が産業の発展のカギを握っていると言えます。日本側からすれば、知られていないというデメリットが付加価値として使う事ができるメリットになりえます。日本は欧米から数年遅れてブームが来ると言われますが、エチオピアコーヒーもその一つになる可能性が高いのではないでしょうか。コーヒー消費量が年々増えている日本にとって同国が重要な国になることは間違いありません。
国歌研究家国歌の輪プロジェクト代表
浅見良太
埼玉県出身。テレビ番組制作会社を経て現職。
大学2年の時、ヒッチハイクで埼玉~屋久島間を19台乗り継ぎ往復し、自分の知らない世界に触れ、様々な人に出会える旅の面白さを知る。
2007年、初めての海外旅行でインド・ネパールを1ヶ月周ったことをキッカケに就職するまでにバックパッカーで計30カ国を訪問。
旅中、出会った人に出身国の国歌を歌ってもらい、それをボイスレコーダーで録音する“国歌録音活動”を始め、数多くの国歌を収録。国歌の奥深さ、面白さにはまる。
2010年、名古屋の東海テレビプロダクションに入社。情報番組、バラエティ番組、スポーツ番組などでディレクターを務める。同社在社中も仕事の合間をぬって国歌録音、執筆活動を継続。
2015年に退社後、”国歌研究家”として「国歌を通じた国際交流」の普及を目的に、国歌に関する執筆活動や講演、イベント運営などを行っている。
同年4月、国歌を通じた国際交流の普及を目的とした団体「国歌の輪プロジェクト」を立ち上げ、代表を務める。