世界は身近にあるもんだ ~国歌研究家 日本で海外の魅力を探す~ 第17回 ルイ駐日大使に聞く 世界トップクラスの実績を持つアンゴラのポテンシャル

浅見良太
 
アンゴラと言ってアフリカに興味のある人ならば石油というイメージが最初に出てくるのではないでしょうか。そのイメージ通りアフリカでナイジェリアに続く第2位の石油生産国です。しかし投資対象国としてのイメージはあまりありません。実際はどのような国なのか、投資家にとってどのような魅力があるのか。
ルイ駐日アンゴラ共和国特命全権大使に現在の投資環境について伺いました。

今回取材にお答えいただいたルイ大使


投資環境整備に力を入れるアンゴラ

―政府による経済政策の最優先課題はなんでしょうか?―
2つあります。1つは海外からの投資促進と環境整備です。
例えば、最近投資促進を目的とした新しい法律が出来ました。
ビジネスマンや投資家が来やすいようにビザをより簡単に安く取得できるようにした移民法や、企業がアンゴラで得た利益を自国に送りやすくしたり、海外資本家がアンゴラの資本を入れなくても会社を設立できるようにした『the Private Investment Law』を作りました。
これまではアンゴラのビジネスパートナー無しでは会社を設立することが出来ませんでしたが、今は海外資本のみで会社を設立することが可能となっています。
また、地方に会社を置くと関税の免除がされるなど税金に対して優遇処置がされるという制度もあります。首都から離れれば離れるほど企業への利益が上がるというわけです。首都だけでなく地方への投資が進み、国がバランスの良い発展をするよう導入しています。
2つ目は腐敗との戦いです。
2年前に就任したロウレンソ大統領が不正に対する監視強化や厳罰化を行うなど、不正撲滅キャンペーンに力を入れています。
アンゴラは安全な国であり、投資に適していると日本の投資家にPRしています。私達は日本からの投資家や企業にどんどん来てほしいのです。今のアンゴラはビジネスをするにあたり素晴らしい環境が整っています。

―どのような情報発信を行っているのでしょうか―
国内外で投資フォーラムを数多くやっています。
日本に関して言えば2013年に130以上の日本企業が参加した “アンゴラ・日本投資フォーラム”をアンゴラで開催しました。また去年はJICAと水力に関するフォーラムを行いましたし、今年1月には財務大臣・石油資源大臣・交通大臣が来日しビジネスフォーラムを行い大成功を収めました。

大使館の部屋に飾られたアンゴラの地図。各地にそれぞれの魅力がある


石油依存脱却を目指すアフリカの産油国

―内戦終結後GDP成長率はプラスが続いていましたが、ここ数年停滞しています―
仰る通り今は落ち込んでいます。一番の原因は国家予算の90%を占める石油価格の下落です。現在こういった事態が今後起こらないようアンゴラ政府は経済の多角化に力を入れています。

―具体的にはどのような分野に?―
農業、漁業、観光などです。
アンゴラは非常に広い国です(日本のおよそ3倍)。ですから農作物を作る土地が十分あるんですね。漁業も同じことが言えます。1600km(大阪・沖縄の直線距離とほぼ同じ)の海岸があることは大きなアドバンテージです。また、携帯や飛行機など電子機器に欠かせないレアアースも採れます。
とても資源が豊富な国なのです。
しかし私達はここで終わりにしたくありません。加工し輸出したいのです。
農業の分野で言えば、果物のジュースだとかジャムだとか、漁業なら缶詰に加工して輸出したいのです。そうしなくては安い値段で原料を他国に送り、その他国で加工された元々自国の物を高い値段で輸入するという変な話になってしまいます。また加工施設が自国にあればアンゴラで雇用を生むというメリットもあります。
今は水揚げした魚を保管する冷蔵庫や加工工場が十分にありませんので、そういった分野に投資するところを探しています。
政府が力を入れているこうした分野は海外の投資家にとって大きなビジネスチャンスです。

―観光分野も挙がっていましたが、アンゴラに“観光”というイメージがありません―
私がアンゴラ人だから言うのですが、アフリカの中でもアンゴラは美しい所が沢山あります。アンゴラにしか生息していないパランカ(アンゴラの国獣)を見ることが出来るキッサマ国立公園など見どころが豊富です。観光にもビジネスチャンスがあります。その証拠に国際的にもアンゴラ観光は注目されていて、6月上旬にアンゴラで国際観光フォーラムが開催され、世界の主要な観光関連企業が参加しました。私達の国に観光のポテンシャルがある証拠です。
開会のスピーチを大統領が行ったことからも、アンゴラが観光に力を入れていると分かって頂けるかと思います。

アンゴラのフラッグキャリア“TAAGアンゴラ航空”


コーヒー、オリーブから見える内戦が残したもの

―コーヒーの生産が盛んだったと聞きました―

内戦前までは世界第4位のコーヒー生産国でした。しかし残念ながら30年近く続いた内戦で農家が国外へ逃げてしまい、現在は当時ほどではありません。今、政府がコーヒー生産を復活させようとウィジェ州、クアンザ・ノルテ州、クアンザ・スル州、ビエ州で力を入れていまして、少しずつですが輸出しています。近い将来、日本にもコーヒーを入れたいですね。

今年8月に横浜で開催されるTICAD7でビジネスEXPOが行われます。アンゴラのブースではコーヒーに関する最新の情報の入手や試飲ができるかと思いますので来ていただきたいです。


―やはりアンゴラの方はコーヒー好きなのですか?―

ここが面白いのですが、アンゴラ人は沢山コーヒーを作っているものの飲む人は多くありません。むしろ紅茶を好んで飲む人が多いです。牛乳に少しだけ入れて飲むことはありますけど。日本のようにストレートで飲むということはあまりしません。


―オリーブも質が良いというのは本当ですか―

伝統的に栽培されてきた物で品質は良いです。ただ、こちらも生産インフラが整っていないので輸出まで至っていません。昔はどこの店にもあったのですが・・・・

内戦前はオリーブだけでなく、国産のバターやチーズ、ソーセージを食べる事は当たり前でした。でも長い内戦でインフラが壊れ多くが国内で生産できなくなってしまったんですね。そのため今は全て輸入に頼っています。輸入に頼っていることはインフレが進む原因でもあるので、この問題も早く解決したいと考えています。


実際に行ってアンゴラを感じてほしい

―日本からの投資は多くありません。何が足かせになっているのでしょうか―

私はまだ日本に来て日が浅いのでハッキリとしたことは言えませんが、“アンゴラ” “アフリカ”に対する、“危ない”などのネガティブなイメージを変えて欲しいとは思っています。

いつも言っているのは、アンゴラは非常にポテンシャルがある国だということです。

アンゴラは何でも出来るところですので、実際に現地に行って、見て、感じて「ビジネスチャンスがある」と思って頂き次のステップに進んでほしいです。

皆さん是非アンゴラに来てください。私達は今国作りをしています。その国作りを世界のベストパートナーと一緒にやりたい。その中に日本が入っています。私達は日本と力を合わせ国作りをしたいと考えています。

大使が持つアンゴラへの想いは強い


大きなポテンシャルを秘めた豊かな国

経済の多角化を目指す他の産油国とアンゴラの違いは何でしょうか。

それは“無かったものを生む”のではなく、“あったものを復活させ発展させる”という点でしょう。アンゴラは輸入を減らし、付加価値の高い製品を生産して海外に輸出したいと考えています。

過去コーヒーやオリーブなど高品質なものが盛んに生産され世界に輸出していました。しかしこれらが縮小してしまった原因は2002年まで30年あまりにわたって行われた内戦です。戦いの中で農家は国外へ、加工に必要な施設や製品を輸送する道路などのインフラも破壊され、その爪痕がアンゴラ発展の足かせになっています。しかし、インフラが整備され環境が整えば、元々持っているポテンシャルを活かし大きな発展を遂げる可能性が大いにある国なのです。

今回取材にご協力いただいたアンゴラ大使館


ルイ 駐日アンゴラ共和国特命全権大使 略歴

ルイ・オルランド・フェレイラ・デ・セイタ・ダ・シルヴァ・シャビエル駐日アンゴラ共和国特命全権大使


1976年外務省入省。

外交官としてイタリアやポルトガルで駐在経験を積む一方で、アフリカ中東局OAU部部長、欧州局西欧州部部長、外務省多国間関係局長代理などを歴任。2018年7月より現職。

英語だけでなくフランス語、イタリア語、ポルトガル語を使いこなす。


 
 

コラム 世界は身近にあるもんだ ~国歌研究家 日本で海外の魅力を探す~

浅見良太

国歌研究家国歌の輪プロジェクト代表
浅見良太

埼玉県出身。テレビ番組制作会社を経て現職。
大学2年の時、ヒッチハイクで埼玉~屋久島間を19台乗り継ぎ往復し、自分の知らない世界に触れ、様々な人に出会える旅の面白さを知る。
2007年、初めての海外旅行でインド・ネパールを1ヶ月周ったことをキッカケに就職するまでにバックパッカーで計30カ国を訪問。
旅中、出会った人に出身国の国歌を歌ってもらい、それをボイスレコーダーで録音する“国歌録音活動”を始め、数多くの国歌を収録。国歌の奥深さ、面白さにはまる。
2010年、名古屋の東海テレビプロダクションに入社。情報番組、バラエティ番組、スポーツ番組などでディレクターを務める。同社在社中も仕事の合間をぬって国歌録音、執筆活動を継続。

2015年に退社後、”国歌研究家”として「国歌を通じた国際交流」の普及を目的に、国歌に関する執筆活動や講演、イベント運営などを行っている。
同年4月、国歌を通じた国際交流の普及を目的とした団体「国歌の輪プロジェクト」を立ち上げ、代表を務める。

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